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毎朝ランドセルを背負って、Aちゃんは元気よく「行ってきます!」と、私達に手を振って学校へ行く。駆け足気味の様子を見るに、よっぽど学校が楽しい場所になったのだろう。彼女に、家以外にそんな場所が出来た事に私も薫も嬉しかった。


漸く子供らしい表情を取り戻したAちゃん。

晩御飯の時間は少し興奮気味で今日一日あった出来事を話してくれる。大切な思い出という宝物が、Aちゃんの心の中で出来上がっていく。それも嬉しかった。




「ねぇ、織田作。私はまた一人の少女を救えたかもしれないよ。出会ったばかりはあんなにおどおどとしていた子がね、最近は笑顔を見せてくれるんだよ。それもとびきりのものをね」



背を墓石に預けて、誰もいない空間に向かって話しかける私は他人から見ればかなり異質だろう。そんな事、これっぽちも考えていないけどね。


久々に購入した、彼が愛用していた煙草に火をつける。優しい煙が私の鼻孔をくすぐる。懐かしい香りだ。同時に、心安らぐ香りでもある。


その時、此方に近付く足音が聞こえた。敦君か薫…かな。その割には少し足音が小さい気が____、




「治さん、本当に居た…」


「! Aちゃん…嗚呼、薫が教えたのか」




予想外の人物が墓石の前に立っていた。驚きのあまり、私は一瞬狼狽えたが直ぐに薫が教えたんだろうと推理した。
全く、この私を驚かせるなんて薫くらいだよ…。

煙草の火を消しながら「それで、薫は私に何か用事があってAちゃんを此処に連れてきたのかな?」と、尋ねるとまたもや予想外の返答。




「? 薫さんは何も言ってないですよ。たまたま友達と向こうの大きな公園で遊んでて、その帰りに『太宰さんこの辺りにいる筈なんだけどなぁ…』って言いながら白い髪の男の人があっち歩いてたから、適当に歩いてたら治さんっぽい人が見えて…」


「……Aちゃん、若しかして異能力者?」


「い、いのー…?」


「あれ? Aちゃん異能力を知らないのかい?」


「あんまり詳しくは知らな」


「あーー! 太宰さん! やっと見つけた! って…この子は?」


「おや、敦君じゃないか」



Aちゃんの言葉を遮る様に登場したのは敦君だった。突然背後から現れた敦君にAちゃんは驚いてしまい、慌てて私の許にやって来た。人見知りは未だに健在らしい。

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世界のバカっこ!(プロフ) - snowy0314さん» 有難うございます!完結できる様更新頑張ります♪( ´▽`) (2018年5月4日 23時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
世界のバカっこ!(プロフ) - 翡翠さん» コメント有難うございます!前作から続けて読んでくださり有難うございます。とても嬉しいです(o^^o)はい!自分のペースで頑張っていきます! (2018年5月4日 23時) (レス) id: 391940a815 (このIDを非表示/違反報告)
snowy0314(プロフ) - 話の続きが気になります!楽しみにしています! (2018年5月4日 20時) (レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 続編おめでとうございます。この作品は前から読ませていただいています。自分のペースで頑張ってください! (2018年4月20日 15時) (レス) id: 44522181b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:世界のバカっこ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年4月15日 18時

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