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10話 ページ10

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いつもの暑そうな学ラン姿じゃない私服の二郎先輩がにこりと微笑み、「やるよ」と手に持っていたペットボトル飲料をひとつ私にくれた。多分、さっき首に当てられたのはこれだ。ついさっきまで冷蔵庫で冷やされていたみたいにペットボトルはひんやりと冷たかった。



「ありがとうございます。ちょうど喉乾いてたので助かりました」

「ん。横、座ってもいい?」

「も、もちろんです!」



ちゃんと確認を取ってから、隣に座った紳士な先輩。そこらで暴れている同学年の男子に二郎先輩の爪の垢を煎じて飲ましたい。

1年学年が違うだけでこんなに落ち着いていて、笑った顔も子供っぽくなくてカッコイイ先輩にキュンキュンが止まらない。溢れだしそうな好きに強引に蓋を閉めて、何気なく会話を初めた。



「先輩は遊びに行かないんですか? さっき先輩を呼んでた声が聞こえたんですが…」

「お、俺は…その、Aちゃんといてぇ……から」

「へ…?」

「なっ、何にもねぇよ! 気にすんな…」

「は、はい」



表情を見られないようにか、帽子を深く被り、俯いてしまった二郎先輩。その隣でどうすればいいかわからない私は先輩の様子を伺い、もしかして怒らしてしまったのではという結論に至り、謝ろうとした時「じろー!」と先輩の名前を誰かが呼んだ。声のした方を見ると、男の先輩がニヤニヤとした顔で水鉄砲を構えていた。




「お前の可愛い後輩ちゃん狙ってもいい〜? 俺その子結構タイプだからさ!」

「はぁ!? んでてめぇがAちゃん狙うんだよ! 水鉄砲貸せ! 俺が白黒つけてやんよ!」



先輩は立ち上がり着ていた上着をおもむろに脱ぎ、「わりぃ。持ってて」と私に向かって投げてきた。慌てて土がつかないように受け取ると、ふわりと先輩の家の柔軟剤の優しいフローラルの香りが鼻孔をくすぐる。



「ぜってー勝つからな! Aちゃん」

「は、はい!」

「俺のこと、見てて」

「…はい」



ずるい。ずるい。先輩はずるい。私の気持ちを散々弄んでずるいです。

でも好きです。たとえ弄ばれてるとしても好きなんです。先輩のことが。

ギュッと先輩の上着を抱き締める。


水鉄砲を友人から貰い、勝つ気満々の先輩の後ろ姿をじっと見ていると、私の視線に気づいた先輩が振り返って、拳を突き出してニッと笑った。私もおずおずと恥ずかしい気持ちを押し殺して拳を突き出して、「頑張ってください!」と言った。先輩は嬉しそうに表情を綻ばせて「おう!」と返事をして行ってしまった。

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幽々華(プロフ) - アオハルやー!!!かわええ!!すき! (2021年1月16日 19時) (レス) id: 1e7a7481f9 (このIDを非表示/違反報告)
シオ(プロフ) - 実は前から見てて面白いなと思って何回も読み返してます!!コメントする勇気が無くて今更何ですけど…!!頑張ってください応援してます!!ホントに今更すみません!!コメント失礼しました!! (2020年3月12日 13時) (レス) id: ecf617ad4f (このIDを非表示/違反報告)
マロカン - コメント失礼します! すみません尊いです(( 尊すぎて禿げそうです← これからも更新頑張ってください!続き、楽しみにしてます! コメント失礼しました! (2019年1月3日 23時) (レス) id: 2a1532ad88 (このIDを非表示/違反報告)
XDDDD - わー!!!だめだ。これは高評価を押さざるを得ないよ!!二郎がかわいすぎる、、、!!おうえんしてるよ!!笑 (2019年1月1日 23時) (レス) id: 8d999ddc14 (このIDを非表示/違反報告)
観音坂とよ(プロフ) - おもしろいです!がんばってください! (2018年12月29日 23時) (レス) id: cf15bbc5d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:id | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年11月19日 16時

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