6話 ページ6
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「(あ、Aちゃん)」
持ってきたラノベも一つ前の授業で読み終え、特にこれといったやるべき課題も無く、ぼーっと授業を受けていると外からホイッスルの音が聞こえて、何年が体育してるんだろうと窓から様子を伺えば、赤のラインが入ったジャージを着た女子がグラウンドを走っていた。
うちの学校は色で学年を分けていて、1年は赤。2年は青。3年は緑で、体操服なんかはその学年の色のラインが入っていて遠目からでもすぐ分かる。
多分、持久走だろうな。タイマーも近くにあるし。女の子だし、たった10周でもキツイんだろうな…Aちゃんって運動できるのかな。パッと見運動音痴そうだけど…。
「(つーか、俺まだAちゃんのことあんまし知らねぇんだよな…)」
頬杖をついてAちゃんの姿を目で追っていると、どんどん周りの子を追い抜いて、ついには運動部っぽい短髪の女子と並行して走って、最後の最後で短髪の女子に先を行かれて2位でゴールしたAちゃん。ここからだとタイマーの数字は見えねぇけど…かなり早かったと思う。
足が遅い男子とかならあっさりと勝てるんじゃね? それくらいのスピードに俺は見えた。
意外な彼女の特技を知れて、勝手に頬が緩む。
俺と同じように足の速さに驚き、Aちゃんはクラスの女子に囲まれていて、困ったような笑みを浮かべていた。
あーいうの苦手…っぽいよな。Aちゃんって。俺関連でからかわれてた時も俯いてたし…。
最近、気づけばAちゃんのことを一日中ずっと探している。頭ん中はAちゃんでいっぱいだし、朝起きてから夜寝る時まで考え続けてて、三郎に「間抜け面」と言われる日が多くなった。
彼女のことが一瞬たりとも頭から離れない。これって、恋で…いいんだよな?
ラノベの主人公みたいに俺はそーいう感情に鈍く、兄ちゃんみたいにモテねぇし…よく分かんねぇ。
でも、Aちゃんは好きだ。これは断言できる。
上手く言葉にはできねぇけど、妹みたいで可愛いっつーか、守ってやりたいって思う。
「(こっち振り向かねぇかなー)」
1階の実験室ならまだしも、運動場からこの3階にある教室にいる俺の顔なんて見えないに等しい。期待するだけ無駄で、ただAちゃんを眺めることしかできない。
俺めっちゃ虚しい奴じゃねぇか…。
ああ、好きだなぁ。
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幽々華(プロフ) - アオハルやー!!!かわええ!!すき! (2021年1月16日 19時) (レス) id: 1e7a7481f9 (このIDを非表示/違反報告)
シオ(プロフ) - 実は前から見てて面白いなと思って何回も読み返してます!!コメントする勇気が無くて今更何ですけど…!!頑張ってください応援してます!!ホントに今更すみません!!コメント失礼しました!! (2020年3月12日 13時) (レス) id: ecf617ad4f (このIDを非表示/違反報告)
マロカン - コメント失礼します! すみません尊いです(( 尊すぎて禿げそうです← これからも更新頑張ってください!続き、楽しみにしてます! コメント失礼しました! (2019年1月3日 23時) (レス) id: 2a1532ad88 (このIDを非表示/違反報告)
XDDDD - わー!!!だめだ。これは高評価を押さざるを得ないよ!!二郎がかわいすぎる、、、!!おうえんしてるよ!!笑 (2019年1月1日 23時) (レス) id: 8d999ddc14 (このIDを非表示/違反報告)
観音坂とよ(プロフ) - おもしろいです!がんばってください! (2018年12月29日 23時) (レス) id: cf15bbc5d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:id | 作者ホームページ:
作成日時:2018年11月19日 16時