じろーせんぱい！【 ヒプマイ 】

12話 ページ12

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「へっくしゅん！」

「A風邪〜？」

「わかんない…でもちょっと寒い」

「上着ないの？」

「昨日洗濯したら夜雨降ってたみたいで…」

「あちゃー」



洗濯物を干した日に限って雨が降る。天気予報は雨じゃなかったのに…。ついてないなぁとため息が洩れた。

雨のせいで外の体育は中止になり、代わりに体育館でバトミントンの授業になった。しかし、急に運動場から体育館に変更したせいで別クラスとの合同になってしまいあまりスペースが無く、私達みたいにラケットすら持たず隅っこでぼんやりしている組もチラホラといる。
体を動かすことは嫌いじゃないけど、狭いところで打ち合うのは危ないし、それに…隣のコートで授業しているのは幸運なことに二郎先輩のクラスで、バスケの試合でキラキラ活躍している先輩を見るのに忙しい。

不純な動機だなと友達に罵られたが、バトミントンをするより私にとって先輩を観察することの方が意味あることだ。

パスを貰って、素早く3Pを決めた二郎先輩。クラスメイトの人とハイタッチを交わして私には眩しい笑顔を見せる。ああ。こうやって先輩を眺めてるだけで幸せだ。これからもこの授業に雨が降ったら先輩の体育をしている姿が見れちゃったりするのかな。なんて、そんなこと考えちゃって。

じっと見すぎてたからか、二郎先輩は私に向かって手を振ってくれた。

気付かれたという恥ずかしさと、手を振ってくれた嬉しさで頭の中はごっちゃ混ぜになり、少し遅れて私も手を振り返した。すると、先輩は「ちょっと待ってて」と口パクして、言われた通り大人しく待っているとゼッケンを近くのクラスメイトの人にたくして私の元にやって来た。



「Aちゃんもしかして俺の事見てた？」

「えっ！？ あ、その、き、綺麗なシュートを決めるからカッコイイな…と、思ってみてました……」

「へへっ、ありがと」

「あの、いいんですか？ 交代しちゃって」

「俺三試合も連続で出てたから疲れたんだよ。だから休憩」

「お、お疲れ様です…」



凄いなぁ。三試合も連続で出れるなんて…。私なんて一試合で精一杯なのに。男の人の体力で女の私から見たら底なしだ。
壁に背をつけてふぅと息を整える先輩にもう一度「お疲れ様です」と声をかけると、にこりと微笑み「ありがと」と礼をされた。

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