夕焼けに染まる通学路 ページ6
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「お疲れさまです」
澤村「おーおつかれー」
日向「おつかれっしたー」
影山「っした」
部員たちが挨拶をしながらぞろぞろと体育館から出て行く。
明日からいよいよ合宿だから今日は少し早めに部活が終わった。
菅原「んじゃ、校門で待ってるから」
「へっ？あっはい！」
菅原先輩が少し屈んで耳元で急に話しかけてくるからびっくりした。なんだか距離感が掴めない人だ。
思わず耳元を押さえているとツッキーに顔を覗きこまれた。
月島「A？なにしてんの」
「え、あ、いや。えっと、だるまさんがころんだ？」
月島「ふっだるまさんがころんだで目じゃなくて耳塞ぐ人は初めて見たんだけど」
「いや、意外とおもしろいよ(？)」
何言ってんだ自分。
月島「何言ってんのA。どっかで頭打った？」
私も同感です。
「いいからさっさと着替えて帰りなよ。明日から合宿だよ！」
背中を押して半ば強制的にツッキーを体育館から出す。
こっちだって菅原先輩が待ってるから急がなきゃいけないんだって。
「すみません！お待たせしました！」
少し息を切らしながらそう言うと菅原先輩は「大丈夫？」と優しい顔で聞いてきた。
菅原先輩「そんな急がなくてもよかったのに。んじゃ、帰ろっか」
「はい」
ゆっくりと私の歩幅に合わせて歩いてくれている菅原先輩が尋ねた。
菅原「さっそくなんだけどさ、Aちゃんって…なにか悩み事とかない？」
「え、いや。…な、いですけど。急にどうしたんですか？」
急に予想だにしてなかった問いかけをされて咄嗟に嘘をつく。
菅原「うーーん。こう見えても俺、結構勘が鋭い方なんだよね。Aちゃんって初めて見た時から、少し、つらそうな顔してるなあって思ってて」
「いや、ほんとに大丈夫ですよ！マネージャーとか初めてで不安だっただけで！そんなくだらない悩みしかないんで」
へらへらと笑って菅原先輩の顔を見ると、目が合った。
少し悲しそうな、切なそうな顔をして「…そっか」
と言うと顔を逸らされてしまった。
夕陽に照らされて色素の薄い肌や髪がオレンジ色に染まっている。
日が暮れ始めて夕焼けに染まる通学路も静まりかえってしまってカラスの鳴き声だけが聞こえた。
ああ。今、嘘をついてるってバレてしまった。
菅原先輩を傷つけた。
人間関係って難しい…。
家に帰ってもいつも通り静まりかえっていて、更に気分が落ち込んだ。
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作者名：さくらもち | 作成日時：2020年10月29日 21時
