【ハイキュー!!】大きな烏に惹かれて II【東峰旭】

ろくじゅうはち 。 ページ23

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インハイ予選、当日。
仙台市体育館に1年ぶりの足を踏み入れて気分が高まる。ちょうど、試合で旭先輩を見た時以来だ。

今日も間近では無いものの、あのかっこいい旭先輩の姿をずっと見ていられるのだと思うと自然と口元が緩む。






みんなの後に続いて歩いていると、ひそひそと周りからの噂話なんてものが聞こえてきて、西谷先輩や影山くんのものから、旭先輩のものもあり。

警戒されてるんだ、なんて思ったり。






｢ やっぱり旭先輩 人気者…！ ｣


｢ Aちゃん、噂の内容聞いてた？ ｣


｢ 恋は盲目ってやつだろ、あんま言ってやんな ｣


｢ ？ ｣





菅原先輩と大地さんに苦笑いを向けられているのに気付いて はてと首を傾げる。何処かダメージを喰らっていたかのような旭先輩も、私の言葉に少し笑顔を見せていた。






｢ ま、旭にはもうAちゃんが居るし いちいち凹まないか ｣


｢ なっ、ちょ、スガ… ｣


｢ 安心してください！私はいつでも旭先輩のファンです！ ｣


｢ う、うん…嬉しいよ… ｣







そんな会話を交わしながら、コートへと歩いていく。指示された場所につくと、私達の前に立ちはだかった白とライトグリーンのユニフォームに包まれた人達。

その人たちを見て、今までへにゃりとしていた旭先輩の雰囲気がぴりっと固くなる。
つい私まで身を固くして、じっと彼らの事を睨み付けてしまった。






伊達工の、青根さんと二口さん。
中学の時はあまり知らなかったが、高校になり他校の強豪を調べていく中で目にした名前だ。

2年の代の、特にこの二人が伊達工の名に恥じない鉄壁だと調べていってわかった。
きっと、旭先輩がバレーから離れてしまった原因を作ったのも、この人達。






静かに何も言わず向き合っていると、青根さんがすっと旭先輩に向かって指をさす。
それに対し何かを言おうとした西谷先輩をそっと制して、旭先輩は逃げ出すことなくじっと青根さんを見つめ返した。







……場違いなのはわかってる。先輩達にとって因縁の相手、負けられない戦い。だからこそ、こんな雰囲気になるのは分かっているのだけど、目を逸らさず逃げずに向き合う旭先輩は、いつ見た中でも一番かっこよくて。

つい旭先輩に目を奪われていると、いつの間にか向こうの主将さんがこの事態を収めてくれていたらしかった。




｢ 旭先輩、すごいかっこよかったですよ！…旭先輩？ ｣


｢ …Aちゃん。多分これ、緊張で固まってるだけ ｣

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