【ハイキュー!!】大きな烏に惹かれて II【東峰旭】

ろくじゅうさん 。 ページ18

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“ 好きですし ” 、なんて。勢いそのまま出た言葉に私は心底びっくりする。

今の好きは、絶対に憧れの好きとかそういう好きなんかじゃない。違う意味のそれ。
だって、今は憧れとかそういう話してなかったし、憧れの好きの対称の言葉は嫌いじゃなくて失望とかそういう類いの…




自分の言葉が頭の中で絡まって、あれ、えっと、と困惑していると、安心したように笑った旭先輩は そうだね、ずっと言ってくれてたもんな、と。

どうやら、憧れの意としてそれを受け取られたらしい。未だに自分の気持ちがこんがらがっている私は、とりあえずこくりと頷いた。







｢ …俺も好き ｣


｢ へ!? ｣


｢ Aちゃんと話してる時間。落ち着くし ｣


｢ え、あ、ありがとうございます… ｣





好きという言葉に どくん、と煩いぐらい心臓が音を立てる。違う意味だってわかっているのに、未だに鳴り止まない心臓の音。

分からない気持ちに、気付け気付けって急かされてるみたいで なんだか苦しくなる。






｢ 泣かせちゃうぐらい困らせてたと思わなかった。…ほんとにごめんね ｣


｢ い、いえ。私も泣くつもり無かったんです… ｣


｢ なんか俺、Aちゃんのこと泣かせてばっかだな ｣


｢ そうでしたっけ？ ｣


｢ 俺が戻ってきた時も、泣いてくれてた気がする ｣


｢ あぁ…でもあれは嬉し涙ですし ｣






そういえばあの時、泣いているよりも笑ってる方がいいって先輩は言ってくれたんだっけ。
思い出すと、またキュンと胸が苦しくなる。








｢ …そうはいっても、やっぱ女の子を泣かせるのはなぁ ｣


｢ 強い子になります！ ｣


｢ いやいや、頑張るのは俺の方。Aちゃんのこと泣かせないようにしっかりするよ ｣







だから、これからもその、好きでいてください、なんて。憧れの人として、って意味で言ってるのは分かってるのに、違う意味のように思えてしまってすごく顔が熱くなる。

良かった、今が夜で、周りがすごく明るい訳じゃなくて。きっと、今の私の顔は今まで生きてきた中で絶対1番真っ赤なはずだ。


旭先輩の言葉にこくこくと頷くと、先輩は嬉しそうに笑う。その笑顔を見るだけでも胸がキュンとなって、好きだなあ、と 思う。




｢ …好き…？ ｣


｢ ん？どうしたの？ ｣


｢ や、…なんでもないです ｣






今までに経験した事の無い気持ちは、とりあえず持ち帰って考える事として。今は、旭先輩と仲直り出来た事を喜ぼうと私は笑った。

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