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ハンバーグステーキの匂いを嗅ぎながら甘いパンケーキを食べるという試練に身を投じながら、可愛い女の子たちの羨ましげな視線を受けている。
そういえば、私の班のメンツってイケメンだなぁ。
『私さ、降谷の子供見てみたい』
「は?」
『いやそんな恐い顔しないでよ』
「Aちゃん、ゼロのこと好きなの?」
『一切好きじゃないけど、これでもし私が降谷のこと好きだったら最低だよ諸伏』
「まあ確かに降谷ちゃんの子供は見てみたいかも」
「萩もかよ」
「いやだってこの遺伝子が入ってるわけでしょ?とんでもねー顔してるよ、きっと」
君も人のこと言えないけどね。
君の顔面も相当強いと思うけどね。
なんて心の声を抑えながらパンケーキをひたすら切っては食べ、切っては食べを繰り返す。
「浅川の子供も見てみたいけどな、僕は」
『なに?降谷って私のこと好きなの?』
「お前ヒロのこと言えないぞ」
『私はイケメンと結婚してなるべく自分の遺伝子がいかないように頑張って妊娠するつもりだから』
「いやそれはお前の努力だけじゃどうにもならんだろ」
『伊達班長って結構現実見てるよね、脳筋のくせに』
きっと前回の人生でもこんな会話をした気がする。
降谷とのデート(仮)中に4人が突入してきたのも前回通りだ。
このまま前回の通りいけば、あれだけ奢れと言っていたみんなが自分でお金を払って私の分まで出してくれるはずだ。
いや、その前にこんな話をした。
そう、丁度今話している内容の話だ。
“『私が子供産んだらちゃんとみんなお金頂戴ね』”
前回の私はこう言ったんだ。
でも、結局私が子供を産む前に萩原も松田も死んでしまった。
それに私自身も死んでしまった。
仕方がないことだ。
前回の私は未来のことなんて分かってなんかいなかったし、当たり前にみんながずっといると思っていた。
『…もし、私が子供を産んだらさ、』
でも、もし、こう言うことで、今回の人生では残してしまう5人に何か苦い爪痕を残してしまうのだと思うとなんだかそれは言えそうにもなかった。
『いや、なんでもない』
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水素(プロフ) - はわわ、好きすぎます (5月4日 0時) (レス) @page37 id: d3132b0e09 (このIDを非表示/違反報告)
栖井蓮華(プロフ) - お疲れ様です!完結おめでとうございます!夢主と降谷さんと同じく、実は松田くんと萩、景、班長も同じタイムリーパー仲間なのかなと考えられました!そしてお気に入りで大好きな作品です。改めまして、ありがとうございました! (2022年12月29日 7時) (レス) @page37 id: a776764b82 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!本当に素敵なお話をどうもありがとうございました!涙が止まりません。これからも読み返し続けます。 (2022年12月26日 21時) (レス) @page37 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
さーもん(プロフ) - 素晴らしい作品ありがとうございます!ストーリーがめちゃくちゃ好きで続きの更新待っています!! (2022年12月15日 1時) (レス) @page32 id: fd46f469b4 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 《ネタバレ注意》やっぱ、降谷さんたち同期みんな何度も人生体験してるよね!? (2022年11月19日 13時) (レス) @page32 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文鳥番長 | 作成日時:2022年5月3日 20時