覚悟しろよ、萩原研二。

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『母さん、じゃあ私が死んだら私の部屋の黒色のタンスの2番目の引き出しの奥の青い大学ノートは中身を見ずにガムテープでぐるぐるにして燃えるゴミに出してね』




「面倒くさいから自分でしてくれる？」


『いや死んでるから無理だから』





警察学校いくだけで大袈裟なのよおバカねぇ、と言いながら母は私を家から送り出した。









さらば、母よ。




きっと、これが本当に母との最後である。





私が立てた今世の計画では、私は警察官になる前に死ぬのだ。




萩原よりも先に死ぬには、警察官になってからでは期間が短すぎる。

だから私は決めたのだ。



6ヶ月の間に同期達と前回のように仲良くなって、死んでやる。








前回の通りに人生が進めば、私は伊達班長の元あの馬鹿どもと6ヶ月を過ごすはずだ。



またサングラス代を立て替えさせられ、萩原の運転する車で三半規管をタコ殴りにさせられると考えると不安しかない。





前回の私、すごく頑張ったんだな……。








『……待って泣きそう』




前回の私の努力に涙腺が弱くなってハンカチを取り出そうとポケットを漁る。




ハンカチ、ハンカチ、あれ？

どこ、ないわよ、ハンカチ、あらら？




嘘でしょ。


もしかして私この前、命と一緒に女子力捨ててきた？





前回の人生じゃあ1回もハンカチとティッシュを忘れたことなんてなかったのに！！






どうやらズボラになった2回目の私は服の袖で涙をこすった。



そんな、ズボラな私の耳にとある声が届く。








「服なんかで目擦ったら赤くなっちゃうよ」


「可愛い顔してるんだから、ほらハンカチ」





懐かしい声に懐かしい顔、懐かしい匂いに懐かしい仕草。












「入校前からもう涙？」














萩原、研二……。




私の、2度目の人生においての目標制覇のための最重要人物である。











『…ありがと』


「いーえ」






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