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公園のベンチにいい年した男と女が夜に会話をするという、なんというか微笑ましいのか煙たがれるのかなんなのか微妙な空気感だがまあいいだろう。







「で?どういうことだよ」


「俺が死ぬ時になんてメールするかって?」





『ちなみに、松田は爆弾の仕掛けられた観覧車の中であと5分くらいで死ぬの』


「細か」








ジトリ、と私の方を見て、なんとなく気まずくて私が目を逸らせばわざとでしょ、ってぐらいの大きさのため息が聞こえてきた。







「メールっつってもなぁ……」



モジャモジャの頭を手でガシガシとかき回して、松田は黙った。









「…班長には、まあそりゃありがとう、とかだろ」


『うん』





「ハギは……先行くぜ、とか」


「ゼロと諸伏は、んー、まあ、長生きしろよ、とか…」







文句を言いながらも、松田は必死に言葉を捻り出してくれた。




私なら、きっと真面目に答えないのに。


松田は至極真面目に、真剣に考えてくれた。












「…んで、お前は、」







松田の鋭い目線が私を貫く。


















松田が最後に私にかける言葉は何なんだろうか。




前回は教えてくれなかった、その言葉を今回は言ってくれるんだろうか。











緊張して、自分から聞いたくせになんだか聞きたくない。




口の中で唇をギュッと噛んで、気持ちを抑える。












「浅川は、」






「…警察官なんかやめろ、とか」



















『は?』






「警察なんてやめて、長生きしてくれ、」


「って、送るかもな」











頭が上手く回らない。



松田の言葉が理解できていないわけじゃない。

むしろ分かっている、酷く理解できてある。






だからこそ、その言葉に戸惑う。














『な、なんでそんな』


「やっぱやめた」




『え、』








松田は気まぐれにベンチから腰を上げて、私のことを振り返った。



その顔は、いつもの松田ではないような、なんというか慈愛を満ちたというか、どこか違和感を覚えるものだった。

















「お前には何も送んねーよ」


















「俺は、きっとメールを送るってなったらさっきみてぇに浅川の望んでねぇ言葉しかかけられねぇからな」









お前を思ってのことだよ、って笑った松田は太陽のようだった。







私はその時、一刻も早く太陽から離れたいと思った。



そして、ひどく、月が恋しくなった。









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水素(プロフ) - はわわ、好きすぎます (5月4日 0時) (レス) @page37 id: d3132b0e09 (このIDを非表示/違反報告)
栖井蓮華(プロフ) - お疲れ様です!完結おめでとうございます!夢主と降谷さんと同じく、実は松田くんと萩、景、班長も同じタイムリーパー仲間なのかなと考えられました!そしてお気に入りで大好きな作品です。改めまして、ありがとうございました! (2022年12月29日 7時) (レス) @page37 id: a776764b82 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!本当に素敵なお話をどうもありがとうございました!涙が止まりません。これからも読み返し続けます。 (2022年12月26日 21時) (レス) @page37 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
さーもん(プロフ) - 素晴らしい作品ありがとうございます!ストーリーがめちゃくちゃ好きで続きの更新待っています!! (2022年12月15日 1時) (レス) @page32 id: fd46f469b4 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 《ネタバレ注意》やっぱ、降谷さんたち同期みんな何度も人生体験してるよね!? (2022年11月19日 13時) (レス) @page32 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:文鳥番長 | 作成日時:2022年5月3日 20時

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