覚悟しろよ、萩原研二。

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1週間前のトラック暴走事件。


その日からなぜか、というか、そのトラックが止まって萩原と話した後から、なぜか萩原が私に対して変なのだ。





無視されるとかではなく、何かが変な気がすると感じていたのだ。















そして、それを実感したのは2日前。






柔道の後、周りよりも早めに着替え終わった私と萩原は松田たちを待っていた。


その時である。












「Aちゃん」






私の名前を呼んだ萩原に、私はそっと振り向いた。


やけに真剣な顔をした萩原に、前回はこんなことなかったはずなのに、とおかしく思う。














「Aちゃん、今から警察やめて俺の姉ちゃんの知り合いのとこで働く気ない？」





『は？』








何を言ってるんだこの男は。







「Aちゃんってそそっかしくて不器用で、バカみたいに真面目で素直で純粋で」


「細くて華奢で薄くて抜けてておっちょこちょいでまぬけで」





「Aちゃん、警察官になんかになっちゃったらすぐに死んじゃうよ」








『なにそれ………』















なんで、よりにもよってお前に言われなきゃならないんだ。









『ふざけてるならやめて』




『私は警察官になるためにここにいるの』


『恨まれる覚悟だって、怪我する覚悟だって、死ぬ覚悟だって、もう全部、全部できてここにいる』








萩原のために死ぬ覚悟なら、とうの昔にできている。
















「だと思った」




『は？』


「そんなに簡単にAちゃんが折れてくれるわけないよね」





「まあ、俺はAちゃんが泥だらけでも傷だらけでも必死こいてる姿が好きだから警察やめてくれても困っちゃってたんだけど」


『ええー……ぶっとばしたい』








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