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「ゼロ、舌噛むんじゃねーぞ…」
片手にサイレンを持って、もう片手に降谷のTシャツを掴んだ松田は正面を睨みつけた。
「Aちゃんはちゃんとシートベルトして捕まってろよ!」
『ねぇ待って萩原降ろして無理無理無理』
そうだトラック暴走ってアレじゃん。
あの三半規管タコ殴りの萩原のドライブテク見せつけられるやつじゃん。
しかも飛ぶじゃん。
『無理無理無理無理無理』
「はいはい大丈夫だから」
「おい、この状況で一体何をやろうって……」
不安げな降谷の声は自信満々な萩原の声にかき消された。
「そいつは、見てのお楽しみ…だせ!!」
派手なブレーキ音とともに萩原が松田から受け取ったサイレンを投げつける。
真横になった状態で飛び上がったFDに、飛び出していく松田と降谷。
そして死にそうな私。
私絶対いらなかったのに。
なんで連れてきたんだよ本当に。
『ねぇ待って待って道ないって!!道、ないって!!!!』
「降谷ちゃん急げ!もう道がない!!」
『無理だって萩原、間に合わない!!』
だから早く前回の答えを思いつけよ!!
そうしないともしかしたら今回ここで死んじゃうかもしれないじゃん!!
君まで死んだら絶望させる相手がいなくなるんだよ馬鹿ぁ!
「アクセルだ!アクセルしかねぇ…」
「踏めぇゼロ!!!」
突然体を襲う浮遊感に胃の中が浮くような変な感じがする。
振動と共に地面についたFDと頭から突っ込んだトラック。
『降谷!!』
「おい!?大丈夫か!?」
萩原と共に外へ飛び出せばひっくり返ったトラックの運転席から降谷のグッドサインが見えた。
『無茶すんなよ心臓止まるかと思ったわバカ降谷』
「心配な言葉の一言くらいかけてくれてもいいんじゃないか」
降谷と運転手さんを引っ張り出す手伝いをしていれば何やらたそがれる萩原の姿が目に入る。
「Aちゃん」
『……なに』
「俺、爆処に入ることにするよ」
今ここでやめろと言えばこいつはやめるだろうか。
『…まあ萩原に合ってるかもね』
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水素(プロフ) - はわわ、好きすぎます (5月4日 0時) (レス) @page37 id: d3132b0e09 (このIDを非表示/違反報告)
栖井蓮華(プロフ) - お疲れ様です!完結おめでとうございます!夢主と降谷さんと同じく、実は松田くんと萩、景、班長も同じタイムリーパー仲間なのかなと考えられました!そしてお気に入りで大好きな作品です。改めまして、ありがとうございました! (2022年12月29日 7時) (レス) @page37 id: a776764b82 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!本当に素敵なお話をどうもありがとうございました!涙が止まりません。これからも読み返し続けます。 (2022年12月26日 21時) (レス) @page37 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
さーもん(プロフ) - 素晴らしい作品ありがとうございます!ストーリーがめちゃくちゃ好きで続きの更新待っています!! (2022年12月15日 1時) (レス) @page32 id: fd46f469b4 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - 《ネタバレ注意》やっぱ、降谷さんたち同期みんな何度も人生体験してるよね!? (2022年11月19日 13時) (レス) @page32 id: 9d3f4398ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:文鳥番長 | 作成日時:2022年5月3日 20時