87.査定 ページ37
『___え？査定？』
翌朝、朝食を食べに降りてきたAに知らされたのは、思いもよらないことだった。
「あぁ...完ッ全に忘れてた」
「査定？」
聞き慣れない言葉にイズミが首をかしげる。
それもそうだろう。
“査定”とは、国家錬金術師に課せられた、ある一種の義務である。
軍の狗となる代わりに、多額の研究費用を受け取ることのできる国家錬金術師の特権に、心惹かれる一般人も多く、国家錬金術師になるべく国家試験を受ける人は年々増加傾向にあるらしい(某焔の大佐調べ)。
しかし、いくら彼らの研究の多くが軍の利益になるとはいえ、なかなか結果の出ない錬金術師にまで多額の援助を行えるほど、軍部の予算も潤沢なわけではない。
そこで、国家錬金術師の資格を得た者へ、査定と称して年に一度自らの研究成果を報告させ、
それを軍部で吟味し、このまま資格とともに援助を与えるのか、それとも資格を剥奪し斬って捨てるのかを決めるのだ。
『え、どうすんの？普通にやばいんじゃないの？それ』
「いや、普通にやばい。真面目にやばい。...と、とりあえず軍部に顔出してくる」
そう言って、いつになく焦った顔で支度を始めるエドに、これを機に軍の狗なんぞやめてしまえ、と声をかけるイズミは、どことなく楽しそうだった。
「兄さん、行くなら
「お、おう！」
『レポートとかいるんじゃないの？』
「行きの汽車の中ででっち上げる！」
国家錬金術師の多くが苦労する査定において、
“でっち上げる”などと簡単に言える彼はつくづく凄いと思う。
普段の言動でつい忘れてしまいそうになるが、
ああ見えても彼は“史上最年少国家錬金術師”と謳われている少年なんだった。
...なんて、柄にもなくAが感動している間に、エドは出発していた。
「...ほんと、朝から騒がしいやつだね」
『ははは...確かに』
「兄さんいっつもあんな感じで...」
『______あ』
申し訳なさそうに肩を竦めるアルとイズミが苦笑いを浮かべる中、
ふと、思い出したようにAが声をあげた。
「Aさん？どうかしたんですか？」
『.....いや何でもない』
______完全にやってしまった。
「ほら2人とも、ご飯にしよう」
「あ、はい！」
結局、昨日の事を2人に話すことに決めたのに、エド行っちゃったじゃん...。
イズミに呼ばれ、キッチンへ向かうアルを横目に見つつ、Aはガックリとうなだれた。
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名無し20471号 - 続きが読みたいです；； (1月31日 12時) (
レス) id: 736ab31a01 (このIDを非表示/違反報告)
Mira(プロフ) - 課題しないとなのにずっと読んでしまった……。更新いつまでも待ってます！！ (2023年1月26日 23時) (レス) @page42 id: 74a2903c73 (このIDを非表示/違反報告)
戦犯のラーク(プロフ) - 初めてコメントを残させていただきます。とっても最高に面白い作品で続きが楽しみになりました。もし更新があったらすぐ飛んできます。最高の作品をありがとう。 (2022年8月19日 1時) (レス) @page42 id: 327ba37996 (このIDを非表示/違反報告)
にき(プロフ) - 面白すぎてハゲそう。何回も読み返してる笑 (2022年6月25日 21時) (レス) @page42 id: 219a3eddad (このIDを非表示/違反報告)
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" - どうして…久々に良作品に出逢えたと思ったら…どうして更新が停止されているんだあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" (2022年5月29日 14時) (レス) @page42 id: 1b12660de2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぶらぴ | 作成日時：2018年7月30日 15時
