52.誠意には ページ2
「そんで、知らないうちに機械鎧つけられて、ワケも分からないままリハビリさせられて、あの時はホントしんどかったなぁ」
『機械鎧の手術って、激痛を伴うらしいもんね…』
そんな痛みに、パニーニャやエドは耐えてきたのかと思うと、なんかこう、胸がきゅっと痛むように感じる。
「それでもね」
低い天井から暖かい光を放つ電球を見上げて、パニーニャは微笑んだ。
「また立って歩けるようになった時は、
太陽が凄く近くに感じられて、
“こんなに太陽って暖かいんだ”って思ったよ」
その後、
リハビリを終えて街に戻ってきた時、
パニーニャは衝撃の事実を知らされた。
自分を助けたドミニクという人は、有名な凄腕機械鎧技師で、彼の機械鎧は本来めちゃくちゃ高い値段で取引されているという事を。
もちろん、孤児のパニーニャがまともに働いて払えるような値段では無く、
ドミニクからは、
“金は要らない”と言われたものの、
どうにかしてお金を返したいと思い、
結局行き着いたのが、今のスリ家業だったのだ。
「でも、ドミニクさん、全然お金受け取ってくれなくてさ」
どうしたらいいのかなぁ、
と溜息をつくパニーニャの横で、Aは静かに言った。
『そんな犯罪まがいの手段で作ったお金、
ドミニクさんが受け取るわけないでしょう』
「え？」
『話を聞く限り、ドミニクさんがあなたを助けたのって、100%誠意でしょ。
誠意は、誠意でしか返せないし、
あなたが手を汚してまでお金を返そうとしてる事に対して、
ドミニクさんが喜んでると思う？』
あなたが考えを改めない限り、
あの人があなたからお金を受け取ることは、無いと思うよ。
そう、キッパリと言い切ったAに、ウィンリィが頷く。
「そうね、一生かかっても返しきれない金額だったとしても、コツコツ働いてお金を返す事自体に、意味があると思うわ」
「A……ウィンリィ………」
しばらくの沈黙の後、
すっ、とパニーニャが立ち上がった。
「＿＿＿私、もうスリ辞めるよ」
『うん』
「Aとウィンリィのおかげで、
目が覚めた気がする。
今までやってきたこと、心から反省して、これからは地道に働いて、お金を返すことにするよ」
……これもエドに謝って、返さないと。
そう言って、パニーニャがポケットから取り出したのは、
ここに連れてくる対価として盗っていた、
エドの名前が刻まれている国家錬金術師の証、
銀時計だった。
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名無し20471号 - 続きが読みたいです；； (1月31日 12時) (
レス) id: 736ab31a01 (このIDを非表示/違反報告)
Mira(プロフ) - 課題しないとなのにずっと読んでしまった……。更新いつまでも待ってます！！ (2023年1月26日 23時) (レス) @page42 id: 74a2903c73 (このIDを非表示/違反報告)
戦犯のラーク(プロフ) - 初めてコメントを残させていただきます。とっても最高に面白い作品で続きが楽しみになりました。もし更新があったらすぐ飛んできます。最高の作品をありがとう。 (2022年8月19日 1時) (レス) @page42 id: 327ba37996 (このIDを非表示/違反報告)
にき(プロフ) - 面白すぎてハゲそう。何回も読み返してる笑 (2022年6月25日 21時) (レス) @page42 id: 219a3eddad (このIDを非表示/違反報告)
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" - どうして…久々に良作品に出逢えたと思ったら…どうして更新が停止されているんだあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ" (2022年5月29日 14時) (レス) @page42 id: 1b12660de2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぶらぴ | 作成日時：2018年7月30日 15時
