2話 : Ryo ページ2
そこにいたのは和服を着た長身の男性。そちらから声をかけてきたというのに、なぜか一瞬驚いた顔をして、決まり悪そうに目をそらした。
続く沈黙。耐えきれず破ったのは私の方。
「ここ、どこですか？」
すがりつくような気持ちで彼に尋ねる。だけど、私の問いに返事はなく、変わりに彼の頭に獣耳がひょこっと現れる。それは何かを察知したように動いていた。
「耳、ほんもの…え？」
ほんとによくわからない世界に来てしまったのか。はやく家に帰りたい。
「やっぱり来るんか…あんなん繰り返すぐらいやったら、いっそ私が…」
彼は私に目線を合わせることなく、独り言を呟いた。そしてそれはなぜか酷く悲しい気持ちにさせる。
私___この人を知ってる…？
懐かしい不思議な感覚が私を包む。だがそれはすぐに潰されてしまった。
「見ぃーつけた」
いつの間に背後にいたのか、ニッコリと笑ってこちらを見ている少年が1人。そして彼の頭にも、やはり耳がついている。
「あれ？なんでtowacoさんがいるの？」
可愛い声の少年は、私越しに、和服の人に話しかける。towacoと呼ばれたその人は、軽く彼を睨んでいた。
「怖い顔〜やだなぁ。俺は任務があるのに」
邪魔しないでよ、と付け足す。何がなんだか理解出来ない私だが、この人は危険だということだけはわかる。なのに、足がすくんで逃げられない。どこに逃げていいかもわからないけど…。
「邪魔はどっちなんですかね」
動けないでいる私を、グイッと抱き寄せて少年から距離をとる。一瞬の出来事に、なんの抵抗も出来なかった。そんな私の不安を察したのか、大丈夫、私が守ります、と静かに彼、towacoさんが囁いた。
もう、この人に委ねるしかない。
「ちょっとーダメだってー俺が怒られちゃうじゃん。それに、また罰を受けることになるよ？」
可愛い声のその少年に、ゾッとするほど恐怖を感じる。
「彼のことは気にしなくていい。目を閉じて」
私だけに届く声。目を、閉じる。
怖い。殺されるかもしれない。
もう、帰れないかもしれない。
だけど、私はまぶたを下ろし
光をたった。
「いい子だ。」
それが合図のように、彼の腕の中に包まれる。鼓動が交わる。息遣いが聞こえる。それが心地よくて安心する。
「つきました。もう目を開けてもいいですよ。」
彼の腕の中から開放された体は、自由を取り戻す。そっと開いた目に映った世界は、今まで私が暮らしていた世界とはまるで違っていた。
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家本(プロフ) - とっても面白いです。更新、気長に待ってます。楽しみにしてます。 (2015年11月22日 14時) (
レス) id: 3c2ad4772c (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - 面白いです！w更新頑張ってください！楽しみにしてます！ (2015年11月20日 17時) (レス) id: 0c8ca8a185 (このIDを非表示/違反報告)
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