【実.況/者】はちみつ大好き少女の恋【フ/ジ】

甘さ9ｇ ページ9

ちくたくちくたく。聞こえないはずなのに、幻聴となり私の耳に届く。
早く終わって欲しい。今日もフジさんが来るんだそう、また会おうと言われ、それがなんだか楽しみな私がいる。

今のところ、好きでもなければ嫌いでもない。言わば普通。
それなのにこんなに楽しみなんて、彼がはじめてだから？

心待ちにしていたチャイムが鳴って、さようならと挨拶をすると、友達が寄ってくるにも関わらず玄関までダッシュする。
変な顔で見られたけど、そんなの知らない。

靴を履き替えて校庭へ出ると、門のあたりに人だかりが出来てる。
通るのに時間がかかりそう。せっかく早くと教室を抜けたのに。

出来るだけ巻き込まれないように抜け出す。
よし、抜けれた。

「キヨっ！」

キヨ？
その名前と、呼んだ声に覚えがありすぎて立ち止まった。
振り返っても生徒が邪魔で見えない。
いや、ぽっこりと頭一つ突き出ているのは、つい最近見たことある。

「キヨってば！」
「なんだよ、フジ」
「なんだよじゃなくて！探してー！」

うん、知ってた。
あのふたり、知り合いだったんだ。どうしよう？出ていくべきかな？
というより、さすがとしか言えない。

そっと人だかりの見えないところに移動して、携帯を開く。
メッセージアプリで下の方からトークを開いて、居場所を伝えた。

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