【実.況/者】はちみつ大好き少女の恋【フ/ジ】

甘さ6ｇ ページ6

何故かそわそわしてる。足の動くスピードがいつもより早い。

先生に呼び出されて、手伝いをしていたら昨日フジさんに伝えた時間よりも大幅に過ぎてしまった。
腕時計を見ると、カフェにいると伝えた時間。

もう、来てるかな

私がいないから帰っちゃったかな。
いや、それは自意識過剰すぎるか。

からんころん

落ち着いた音が店内に響き、奥の方から姉さんが現れる。
店内を見渡すと目が合った。フジさんだ。

フジさんの方に足を進める。ふわりと微笑んだフジさんが、昨日と同じ席に座っていた。
机の上には変わらずコーヒー。

「おかえり」
「ただいま、です」

日本語がおかしくなってしまった。ただいまなんて敬語でどう言えばいいのかわからないから、仕方ないよね。

同じように、向かい合わせに座る。
姉さんは多分ホットミルクを持ってきてくれるだろう。

「遅かったね？」
「先生に呼び出されて」
「あー、懐かしいなぁ」
「おっさんですか」
「だから違うってばァ！」

フジさんとの会話が、楽しいと感じる。
どこかいじりがいのあるフジさんの反応を楽しみながら会話をする。

冗談ですよ、と笑えば力なく笑われた。

「フジさんってすごいですよね」

きょとんとするフジさんが間抜けで、可笑しくて笑う。

「だって私コミュ障なんですもん」
「うっそだぁ」
「本当ですって」

ここで嘘をついてどうするんだろう。
そうは思うもフジさんの目は疑っているよう。信じてもらえないのか。

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