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甘さ43g ページ43

学校では友達に心配されるほど腫れていた目も元に戻り、いつも通り姉さんの経営しているカフェでホットミルクを飲む。

あの日から一週間、クリスマスまで一週間後に迫った今日も、またフジさんに連絡を取れないでいた。

フジさんとのトーク画面を開くと視界がぼやけて、文字を打てない。
打っても一方的なものになりそうで、フジさんを傷つけてしまうんじゃないかと不安で仕方ない。

実は、クリスマスにデートの約束がある。
それも無くなったのかなぁ。
そりゃそうか、疎遠になっちゃったもんなぁ。

ぼんやり考えるけど悲しくて、今にも泣きそう。
キヨ兄さんにはがんばるって言っちゃったから、ここで逃げ続けるのはダメだと言い聞かせても、怖くて仕方が無い。

「あれ?Aちゃん?」
「…!?」
「あ、やっぱりAちゃんだ」

出来れば聞きたくない声が聞こえて、驚く。
そっちを見ると会いたくない人物がそこにいた。

「玲香、さん」
「相席してもいい?」
「…どうぞ」
「ありがとう!…フジくんとは、どう?」
「べつに、」
「もしかして、会ってない?」
「さあ」

なんでこんな態度しか取れないんだろう
玲香さんは悪くない。悪いのは私なのに
性格悪いなあ

「あらま、嫌われちゃったかなあ」
「そんなこと」
「フジくんね、落ち込んでると思うよ」
「どうしてわかるんですか」
「んー、私の時がそうだったから、かなあ」
「…?」
「私たちの話はフジくんから聞いてね、私は言ってもいいのかわからないから」
「当事者なのに?」
「うん。だってAちゃんが聞きたいのは私の思いじゃなくてフジくんの思いでしょ?」
「…ごめんなさい」
「いーのいーの、謝らないで!でもね、私はもうフジくんのことをなんとも思ってないから、安心して」
「ごめん、なさい」

ごめんなさい、何度も何度も呟く。
こんなにいい人なのに私は失礼な態度ばっかり取って。

涙腺、緩んだなあ。
前ならこんなことで泣いたりしなかったのに。弱くなっちゃった。

手に握ったケータイの力を入れる。

「怖いかもしれないけど、勇気を出して」

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小吹雪凛(プロフ) - 読ませていただきました!とても感動しましましたこれからも頑張ってください! (2016年4月9日 22時) (レス) id: 080850b746 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - 心臓がっ・・・・心臓が締め付けられたっ・・・(訳 胸が締め付けられるほどきゅんきゅんした。素晴らしいです) (2016年3月31日 20時) (レス) id: d9175db01a (このIDを非表示/違反報告)
てぃの。 - 「間接キス」が「関節キス」になってますよー!突然失礼しました。 (2016年1月16日 0時) (レス) id: 8ac4f385cb (このIDを非表示/違反報告)
美音-ミオン-(プロフ) - れいかさんっっっ!!タイミングよ!!!()共感して電車の中で泣きそうになりましたやべぇ (2015年11月18日 12時) (レス) id: 0c8448ac7c (このIDを非表示/違反報告)
らなたん(プロフ) - いつも楽しんで読ませていただいてます!すごく面白くて更新がいまかいまかとワクワクしながら待っています。応援しているので頑張ってください!失礼しました( ˇωˇ ) (2015年11月18日 2時) (レス) id: 105d5c3654 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:  
作成日時:2015年11月3日 23時

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