【実.況/者】はちみつ大好き少女の恋【フ/ジ】

甘さ31ｇ ページ31

こんな服、着たことがないから自信がない。

「…っ、かわいい」
「ぁ、ありがとうございます」

それでもフジさんはかわいいと言ってくれた。
それだけで嬉しくてたまらない。
どうしよう、この服買っちゃおうかな。

またフジさんと出かける時に着ようかな。

「ね、今日はその格好がいいな」
「え、どうするんですか？」
「ちょっと待ってね。」

フジさんが店員さんを呼びに行ったみたい。
このまま着てろ、って事だよね。いいのかな、そんなの。

心配になったが笑顔の店員さんを見て大丈夫なんだとひとり安心した。

「かしこまりました、少々お待ちください」
「はーい」

笑顔の崩れない店員さんは私に一度脱ぐように指示する。
値札を切るんだそう。
言われた通りに脱いで、どうせまた切るからと下着のまま試着室に篭る。

「お待たせしました」
「あ、はい」

カーテンを開けることなく渡された服を、再度着る。
鏡でおかしなところがないか確認して、くるりと一回転。

うん、大丈夫かな。

「お待たせしました」
「ん、やっぱりかわいい。行こっか」
「はい。あの、お金、」
「？ああ、いいのいいの」
「フジさんが支払ったんですか？」
「うん」
「え、いくらしたんですか、返します！」
「いいってば」
「ダメです！」
「プレゼント。ね？」
「うっ…」

プレゼントって言われたら、言い返せないじゃないですか。卑怯だ…。

ちゃっからと繋がれた手に、精一杯の力を込めた。

―――
ネタ帳作りました。【実.況/者】初めの初めの第一歩【ネタ帳】

甘さ32ｇ→←甘さ30ｇ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す