【実.況/者】はちみつ大好き少女の恋【フ/ジ】

苦さ4ｇ ページ4

運命なんじゃないかと、自分を疑った。

前にヒラにおすすめだと教えられたカフェに来てみると、今日は忙しい日なのか店の中は人で溢れかえっていた。
なんとか席を確保し、コーヒーを口につける。

うん、おいしい。

ぴこんと通知が鳴り携帯を見て、誰からなのかを確認する。相手はキヨだった。
いつもみたいに単語で区切られたメッセージに、だらしなく笑う。

「すみません」

戸惑いがちに、それでもしゃんとした声が耳に入った。その声は俺に向かって発せられたもののようで、そちらの方を見た。

染めているのか、暗い茶色が長く揺れる。毛先はパーマが当てられているのかふわりとカールを描く。
大きな瞳はまっすぐ俺の目を見た。
表情は何も写していないけど、それでもどこか見とれてしまう。

「なんですか？」

それを悟られないように、ゆっくりと答える。周りは相も変わらず騒がしい。

「相席しても、いいですか」

ああ、他に席がないのか。
彼女の手に持たれたマグカップと、この人の多さがそれを証明した。
慌てて机の上に置いたままの荷物を退けて、どうぞと答える。

向かいに座り、マグカップを置きそのまま口を近づけた彼女。
そのまま飲むのかと思えば、ふーと口から息を吐き出し湯気が揺れた。

まさかの猫舌だった。
それが可愛らしくて、思わず笑ってしまう。

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