【実.況/者】はちみつ大好き少女の恋【フ/ジ】

甘さ21ｇ ページ21

積極的に、って言葉が頭の中にループする。しかもキヨ兄さんの声で。
だからがんばろうと思うんだけど、言いたいことが喉につっかえて出てこない。

それを誤魔化すためにホットケーキを口に入れる。
冷めちゃってる。それでもはちみつたっぷりのホットケーキは美味しい。
この分だと、ホットミルクも冷めてるだろうなぁ。

てことは。

立ち上がるとフジさんの視線も動く。
あ、なにこれ楽しい。
何も言わず奥に入って、ケーキやらなんやらをせっせと作っている姉さんに声をかける。

「姉さん」
「ん？」
「コーヒーとホットミルク、冷めちゃった」
「はぁい、落ち着いたらすぐに持っていくから、待ってて」
「うん。なにか手伝えることある？」
「大丈夫だから、あんたはあんたで頑張って」
「…うん、」

頑張らなきゃ。
席に戻るために足を動かす。フジさんはきょとんと私を見てきた。

椅子には座らず、服の袖を引っ張る。
手の隠れるぶかぶかのセーターから掴むと、隠れてしまって出てこない。

「Aちゃん？」
「家、来ませんか」

がんばった、がんばったよ、私。
フジさんは固まった後、いいの？と確認してきた。
それに頷いたのを確認して、荷物を持つ。

綺麗だから、大丈夫だよ。
うん、何も問題ないよね、大丈夫、大丈夫。

お会計をしようとするフジさんに大丈夫と伝えて店を出た。

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