甘さ3g ページ3
焦ったようにフジさんは黒い黒いコーヒーを口に含んだ。
よく飲めるなぁ。私はコーヒーが大嫌い。
ごくり、喉仏が震えて飲み込んだことが分かった。
それを眺めていると、どこか落ち着きのなくなったフジさんが目に入る。
「見ないでよ…」
ふいっと外に顔を向けてしまった彼の頬は気のせいか、どこか赤く染まっている。
「照れたんですか?」
「照れてないべ」
「うそだ」
「うそじゃない」
「じゃあどうして、赤いんですか」
ああもう!頭を抱えてしまったフジさんが何をしたいのか、わからない。
とりあえず、変な人だということは理解した。
頭を抱えて、下を向いてしまったフジさん。たまにチラチラと私を見てくる。
「Aちゃんは、」
相変わらず視線は交わらない。それは彼が外しているから。
真剣な声色に、胸が鳴った。
「Aちゃんは、一目惚れって、信じる?」
すっと視線を上げて、絡み合う。
笑顔なんてなくて、表情までもが真剣そのもの。
「一目惚れ?」
「うん」
「まぁ、あるんじゃないんですかね。それがどうかしました?」
「…ううん、何でもない」
力なく、どこか悲しそうに笑う彼。
わけがわからない。突然の話題に頭がついていけていないのが、本音。
もう一口、コーヒーを含んだ。
同じように私も、ホットミルクを含んだ。
ミルクとはちみつが混ざりあって暖かい甘さが口の中に広がる。頬が緩んだ。
494人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小吹雪凛(プロフ) - 読ませていただきました!とても感動しましましたこれからも頑張ってください! (2016年4月9日 22時) (レス) id: 080850b746 (このIDを非表示/違反報告)
まどか - 心臓がっ・・・・心臓が締め付けられたっ・・・(訳 胸が締め付けられるほどきゅんきゅんした。素晴らしいです) (2016年3月31日 20時) (レス) id: d9175db01a (このIDを非表示/違反報告)
てぃの。 - 「間接キス」が「関節キス」になってますよー!突然失礼しました。 (2016年1月16日 0時) (レス) id: 8ac4f385cb (このIDを非表示/違反報告)
美音-ミオン-(プロフ) - れいかさんっっっ!!タイミングよ!!!()共感して電車の中で泣きそうになりましたやべぇ (2015年11月18日 12時) (レス) id: 0c8448ac7c (このIDを非表示/違反報告)
らなたん(プロフ) - いつも楽しんで読ませていただいてます!すごく面白くて更新がいまかいまかとワクワクしながら待っています。応援しているので頑張ってください!失礼しました( ˇωˇ ) (2015年11月18日 2時) (レス) id: 105d5c3654 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ