【実.況/者】はちみつ大好き少女の恋【フ/ジ】

甘さ19ｇ ページ19

「どうぞー」

姉さんがコーヒーの入ったマグカップを運んでくる。入ってからすぐこっちに向かってきたから、きっと姉さんが察して持ってきたんだろう。

去り際にがんばれと耳打ちされた。
うう…。キヨ兄さんにも姉さんにも言われたら、頑張るしかないじゃん…。

緊張して喉が締まる。

「あ、の、」

震える声を抑えた。

「連絡先、聞いてもいいですか…」

ああもう！自覚した途端にこれだから。語尾が弱くなってしまった。
フジさんは何かを思い出したようにポケットから携帯を取り出した。

それはいいってことだよね？ね？

「ごめんね！ここに来たら会えるって思ってたから聞くの忘れてた！」
「なんですか、それ」

緊張もクソもない返事に、力が抜けたように笑う。
それを見たフジさんは固まってしまった。
え、え、なに。

「こ、交換しよ！」

ほんのり赤く染まった頬のまま携帯をこちらに向けられる。
大丈夫、かな？

私も交換するために携帯を取り出した。
いつも使ってるメッセージアプリで交換して、その画面を眺める。

「Aちゃんって、表情少ないほうだよね」
「失礼すぎません？」
「ううん、その分笑った時可愛いし、レア感ある」
「なにそれ」

確かに普段から表情が少ないって言われるけど、フジさんと話してる時は自然と頬が緩むんですよ。
なんて言わないけど。

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