【実.況/者】はちみつ大好き少女の恋【フ/ジ】

苦さ14ｇ ページ14

なんでなんで。
ふたり仲良くして俺だけ蚊帳の外なんて。
キヨとAちゃんは関節キスまでしちゃうし、舌を出したまま見上げてくるAちゃんはエ ロいし。

今だってほら、喧嘩っぽい会話をしてるけど、雰囲気はそんなに悪くないじゃん。
はじめからわかってたことだけど、こんなに一方通行だったらさすがの俺だって心が折れる。

知らなければよかった。

「はぁ…。俺は帰るわ、またな」

キヨが立ち上がり、Aちゃんの頭を撫でた。
羨ましい。俺もあのサラサラの髪の毛に触れたい。そしてそのまま絶対に気持ちいいであろう頬をつつきたい。

「？帰るんだ。またね」
「おう。フジに変なことされたらすぐに言えよ？」
「しないからっ！」
「わかった、言うね」
「ちょ、Aちゃん…！！！」

ふたりしていい雰囲気を作って、俺をいじって。
そしてキヨは俺に一言耳元で耳打ちして店を出ていった。

『大切にしろよ』

そんなの言われなくてもわかってる。そこまで俺だって馬鹿じゃないんだから。
何も返事はせず出ていくところを見守った。

「フジさん、キヨ兄さんになんて言われたんですか？」
「ん？何も言われてないよ」
「ふーん」

興味のなさそうにつぶやいたあと、何を思ったのかAちゃんは両手に抱えたマグカップを俺に渡してきた。
何のことかわからず戸惑ってしまう。

「はちみつ入りですけど。私とキヨ兄さんの関節キスが羨ましかったんでしょう？」

その言葉でなにか察した。
確かに、羨ましかったけど、けどなんだよなぁ…。

「ありがとう。でも俺甘いの苦手なんだ」

さっきよキヨと同じように頭を撫でた。

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