Tenma Sumeragi.H ページ6
『エレジー』
▽
「お前またそれ読んでるのか」
「天馬くんも読んでみる?」
「オレは台本を読むので忙しい!」
「そっかそっか」
隠せないドヤ顔、
愛すべきオレンジ色をしたふわふわの髪。
全てが陽だまりのようで、いつ見ても目に暖かい。
「何か用事でもあったの?」
話しかけてくれるときはいつも用事があったでしょ?と諭すように問うた。
「いや別に」
そこでいつも、彼は何故だか渋るのだ。
ワンパターンというより、彼は結局わかりやすい。
読んでいたハードカバーの本をぱたりと閉じて彼のほうに向いた。
「悩み?」
「いや……。お願い、だ」
やがて凛々しい顔つきになって、あんなに渋った答えを述べてしまうのだ。
「今度、雑誌に特集を組んでもらえることになった」
「そうなんだ。おめでとう?」
私がそれだけ?、という顔で見るとまた言い淀んだ。
それだけ、って言うのは失礼だったか。
彼が特集を組まれるのは日常茶飯事も同然だから少し顔つきを変えた。意識はなかったけれど。
「誰か……
同級生を連れてきてくれないかって言われて」
「それで?」
「テーマが“デート”で、顔も写らないからお前に……」
「私でいいの?」
手元を動かしながらそこを見つめていたから、彼に向き直すと視線の先には私しかいないようで。
「スタイルも服のセンスもないけど……」
「いい。オレがカバーする」
「ふふ、否定はしてくれないんだ」
「ぐ……」
カッコつけて言ったくせに言葉のフォローはしてくれないから緊張してるんだなぁと思って笑ってしまった。
「いいよ。私で良ければ」
「ほんとか?!」
小さく頷けば、また太陽みたいに輝く。
「じゃあ。着いてきてくれ」
「え、もう……?」
先程読んでいたハードカバーの本をカバンに閉まって言われるがままに着いて行った。
「あ、天馬くん。マスクしなきゃ」
「サングラスしてるから別にいい」
「バレたらスキャンダルになっちゃうよ」
「言いたいやつには言わせておけばいい」
マスコミを物ともしていないのかそう答える天馬くんはマネージャーさんの迎えも呼ばないで歩いてスタジオまで向かうようだ。
さっきから何も言ってはくれないけれど。
「A。手」
「手?」
「っいいから!貸せ!」
手を渡せば、グイッと引っ張られて彼のポケットの中に仕舞われた。
「えっ?……予行練習?」
「……」
彼は何も言わないでズンズン進むだけだった。
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はゆー(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です!(*´ `*)これからも、ろい様と力を合わせて更新をがんばっていきたく思っておりますので心待ちにして頂けますと幸いです。あゆみ様をキュン死にさせてみせますのでよろしくお願いします、、!笑 (2019年4月28日 19時) (レス) id: 6a466921ec (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 毎回めちゃめちゃいいお話ありがとうございます…!!1話読み終わる度に投票してもうしてあるので失敗するという流れを繰り返してます…次の更新も待ってます!! (2019年4月28日 1時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» く、口から血が……!?ですが、キュンキュンは抑えません!(笑)これからもドキドキ、キュンキュン全力で恋のサンプルをお届けします! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
灯無 - ろいさん» いえいえ!良かったです(^ ^) これ以上キュンキュンすると口から血が出そうです。楽しみに待ってます! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 126e456bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» ご指摘ありがとうございます!めちゃくちゃ無意識でした!これからははゆーちゃん様と合わせます!更新楽しみにしておいてください、キュンキュンさせてみせます(真顔) (2019年3月31日 16時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年3月31日 2時