恋のサンプル【A3!】

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始めは近所に住む仲良しのお姉さん。

兄ちゃんよりも歳上なのに、そんなこと全く感じさせなくて、すごく優しくてすごく温かかった。


毎日離れるのが惜しくて、幼いオレはひたすら彼女に迷惑を掛けた。

離れたくないなら。
一生一緒にいればいいじゃないかと。


幼いながらに打ち出した答えは単純で、その答えは今も心変わりしてはいない。

彼女からその“応え”を待ち続けてもう八年は経つけれど、彼女の否も変わらないままだ。




そんな中、彼女は漸く口を切った。


「……九門くんはさ、どうして私がいいの？」

「え？」


「九門くんならもっと良い人がいるよ。八つも上の私じゃなくても」


弱々しく出たそれらは聞き捨てられない言葉たちだった。大事なのは年の差でも世間体でもないというのに。



「オレは絶対、Aさんじゃなきゃダメなの」

「憧れの対象が好きに起き代わってるだけじゃなくて？」



「始めはもちろん憧れから入ったよ？

でもその後は違う。オレはあの時から“Aさん自身”しか見えてない！」



オレが夢中で言い放ってるうちに、気づけば彼女の頬が朱に染まっているのが嫌でもわかった。

自惚れていいのかもしれないなんて考えてしまった。



「っ、八歳差は……？
埋まらないんだよ…？」


これはきっと、彼女が最大限に気にしていることなのだろう。


オレのためにならないだとか、Aさんらしいお人好しな理由で応えを蹴っていたのだと思う。

オレはそこまでAさんのことを知らないわけじゃない。何せ、八年は追いかけてきていたのだから。



「ねぇ、Aさん。

これ、人から聞いた話なんだけど、八って漢字、“末広がり”って意味らしくて。末広がりは縁起がいいんだって！」


「……つまり、
未来明るいってこと……？」


オレが力いっぱい頷くと、彼女は力なく笑った。

「はは…もう、
九門くんといると何事も楽しく感じちゃうよ……」


当たり前だ。これは昔から思ってきたことで。


Aさんの笑った顔が好きで、オレが笑わせてあげられるならどれだけ幸せかと思った。

だから、オレといるうちは、悲しい顔なんてさせない。させてあげない。



「……一度オッケー貰ってたのに取り消されるなんて思わなかった！」

「……ごめんね」

「いいよ。一応 想定内！」


お人好しなAさんなら有り得たことだ。

もう一生迷わせない。



オレに向かった彼女の笑顔がパッと明るく華やいだ。これからよろしくね、と。


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令和元年あけましておめでとうございます！

Yuki Rurikawa.R→←Kumon Hyodo.H

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