Tuzulu Minagi.R ページ44
『病事も全部』
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「綴くん、次の脚本は…」
「今回はどうしましょうか」
プロット作成画面のままパソコンの前に座っている綴くん。私は単なる家政婦のようなもので、常に綴くんに脚本のアイディアを提供している。…それと同時に、
「今回は恋愛モノでもいいかもしれないっすね」
私は綴くんの職業病のようなものに付き合う家政婦なのだ。
綴くんは脚本の内容を考えることに精一杯だった時、偶然居合わせた私がネタを提供した。それがきっかけでこれからネタを提供してくれ、と頼まれた。それと同時に主演と準主演を自分たちが演じて実際に考えてプロットを書く、と。
これが始まったのはいつだったか覚えてない。
「恋人役、…なら、何をすればいいかな?」
「んー、ならまずは」
綴くんは椅子から立って、こちらに向かってくる。
そしてふわりと私を抱きしめた。
「つ、綴くん!?」
「綴、だろ。A」
あぁ、始まった。綴くんは役になりきりすぎてその場、その場の判断で私の名前を呼ぶ。時には苗字、時には呼び捨て。
その度に私の心臓はバクバクと早く動く。心臓の動きが遅くなって欲しい、だって近くにいる綴くんにバレちゃうでしょ。
「んー、…ずるい」
「??
何か言った…綴?」
「なんでもない」
何気ない一言。なのにどうしてこんなに心臓がドキドキするの。
これは綴くんからすれば病事なのに。病事にしか過ぎないのに。それを利用している私は悪い子なんだ。
「………」
「泣きそうな顔わかりやすい」
「へっ…?」
「俺と居る時ぐらい泣かないで」
どういう設定だったかな、これは。
今更、こんな役回りで泣きたくなるなんてきっときっと気の所為。
神様お願い。病事も全部、私に添付して。辛いことほど分け合いたいでしょ、なんてさ。
「この好きから逃げたいのに、」
フリをしているタンポポは逃してくれない。
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はゆー(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です!(*´ `*)これからも、ろい様と力を合わせて更新をがんばっていきたく思っておりますので心待ちにして頂けますと幸いです。あゆみ様をキュン死にさせてみせますのでよろしくお願いします、、!笑 (2019年4月28日 19時) (レス) id: 6a466921ec (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 毎回めちゃめちゃいいお話ありがとうございます…!!1話読み終わる度に投票してもうしてあるので失敗するという流れを繰り返してます…次の更新も待ってます!! (2019年4月28日 1時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» く、口から血が……!?ですが、キュンキュンは抑えません!(笑)これからもドキドキ、キュンキュン全力で恋のサンプルをお届けします! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
灯無 - ろいさん» いえいえ!良かったです(^ ^) これ以上キュンキュンすると口から血が出そうです。楽しみに待ってます! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 126e456bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» ご指摘ありがとうございます!めちゃくちゃ無意識でした!これからははゆーちゃん様と合わせます!更新楽しみにしておいてください、キュンキュンさせてみせます(真顔) (2019年3月31日 16時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年3月31日 2時