Azami Izumida.R ページ39
『メイクの魔法』
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「莇くん、お願いっ!」
一成さんと誉さんとある話をしているとそこで話題の中心である莇くんが通りかかった。
目ざとい2人は私を軽く押してレッツゴー合図を出した。その為、仕方なく私が繰り出されることになったのだ。
姿勢は低く、顔の前で手をパンと合わせて莇くんを見てお願いする。
「あざみんっ、可愛い彼女ちゃんからのお願いなんだから聞いてあげてねん!」
「ふふっ、そういう事だよ莇くん」
私達2人は顔を真っ赤にして一成さんと誉さんの方を向いて、口々に言う。
「外野うるせぇ…」
「っ、からかわないでください!」
その時、莇くんが私の手を掴んだ。
「へっ、ちょっ、莇くん!?」
「っ、今は黙って着いてこい!」
「は、はい」
…後ろから突き刺さる2つの視線は気のせいってことで。
手を引かれ、言われるがままに着いて行くと莇くんと左京さんの部屋。適当に座ってろと目で合図され、言われる通りに座る。
ふと周りを見ると、相も変わらず整頓された部屋。左側の莇くんのスペースの本棚には2つの黄色いBOXがあって、あれにはメイク道具が入っている。
「あ、莇くん、左京さんは…」
「アイツは仕事中。夜まで帰ってこねぇよ」
「そっか」
自然と無言になるこの空間は嫌いじゃない。私達は元から会話が多い方じゃなかったから。
「で、お願いってなんだよ」
「あ、うん、それなんだけどね。
……莇くんの顔、メイクさせて欲しいなぁって」
私が意を決してそう言うと、莇くんは素っ頓狂な声を出して目を丸くしていた。
「い、いつも莇くんがメイクしてるから、私もメイクしたくて、」
ダメ元なんだけどね、そう言うつもりだったのに。それは莇くんによって遮られた。
「いい、けど」
「へっ……?」
「だから、いいって言ってんだよ。Aのメイク、見てみたいし」
…どうやら莇くんはメイク関係のことになると少しだけ素直になるようだ。
「じゃあ、自分のメイク道具取りに行ってくるね!」
そう言って、その場から立とうとするとグッと手首を握られる感覚。目の前には顔が少し赤い莇くんがいた。
「…俺の使えばいいだろ」
「え、でも、」
「いいから。…久しぶりに2人きりってこと、分かってねぇだろ」
つ、つまりは多分そういうこと。
火照った顔をなんとか抑えて、スっと無言で座った。
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はゆー(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です!(*´ `*)これからも、ろい様と力を合わせて更新をがんばっていきたく思っておりますので心待ちにして頂けますと幸いです。あゆみ様をキュン死にさせてみせますのでよろしくお願いします、、!笑 (2019年4月28日 19時) (レス) id: 6a466921ec (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 毎回めちゃめちゃいいお話ありがとうございます…!!1話読み終わる度に投票してもうしてあるので失敗するという流れを繰り返してます…次の更新も待ってます!! (2019年4月28日 1時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» く、口から血が……!?ですが、キュンキュンは抑えません!(笑)これからもドキドキ、キュンキュン全力で恋のサンプルをお届けします! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
灯無 - ろいさん» いえいえ!良かったです(^ ^) これ以上キュンキュンすると口から血が出そうです。楽しみに待ってます! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 126e456bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» ご指摘ありがとうございます!めちゃくちゃ無意識でした!これからははゆーちゃん様と合わせます!更新楽しみにしておいてください、キュンキュンさせてみせます(真顔) (2019年3月31日 16時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年3月31日 2時