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Tasuku Takato.R ページ36

『紫苑の花を君に』





「丞、今年も紫苑の花が届いたみたいだよ」


幼なじみの紬が紫苑を持って言う。「あぁ」と言って俺はその花を受け取る。

薄い紫色が綺麗な紫苑の花言葉は『あなたを忘れない』という意味があるらしい。


「丞、何その花」


茅ヶ崎が俺の手の中にある花を凝視して口を開いた。


「俺がGOD座にいる時からずっと届くんだ。差出人は不明で俺の名前とメッセージしか添えられていない」

「どんなメッセージ?」

「花言葉に沿ってあなたを想います」

「へー…粋な言葉じゃん」

「…そうだな」


毎年贈られてくるこの花は部屋に飾っている。花瓶を買って紬に教えられた方法で世話をして。



「あっ、丞さん。今さっきこの花を丞さんに渡して欲しいって渡されたんですけど…」


カントクの手にあるのは俺が持っているものと同じ紫苑。
何故か心臓がドクリと鳴った。今、行かないと何故かそいつ(差出人)に一生逢えない気がした。


「っ、悪い紬、任せた」

「えっ、ちょっ、丞!?」


紬に花を押し付けて、俺は寮から出て行く先もなくただただ走った。
今さっきなら、まだ遠くには行ってないはずだ。

走りながら辺りを見渡す。くそっ、カントクにどんな人物か聞いておけばよかった。
長い黒髪の女の横をスっと通り過ぎた時、微かに紫苑の匂いがした。直感的に身体が動き、気づけばそいつの手首を掴んでいた。


「ちょっと待ってくれ」

「えっ…」


そいつはどこか驚いた顔をして俺を見た。大きな目を更に大きく見開き、凝視するそいつはどこか見覚えがあった。


「……A、か?」

「!!
たす、く…」


そいつは高校、大学と一緒のAだった。Aは元GOD座だったが何故か辞めた。その理由は教えてくれなかった、俺にも紬にも。


「…どうかしたの?手首なんか掴んで」


そいつは何事も無かったかのようにヘラりと笑って自身の手首を見た。
その手首を離さないように握って口を開く。


「どうしてやめたんだよ」

「出会い頭にそれかー。相変わらずだなぁ、丞」

「そんなことはどうでもいい、答えろよ」

「…プライバシーだよ、答えられない」


本当に申し訳なさそうな顔をして言うA。いつもそうだった。高校の時も大学の時も、何も言わなかった。何1つ言わずに全てを1人でこなしていた。


「毎年、紫苑を贈ってたのはお前だろ」


確信をついてそう言うと、Aは諦めたとでも言うようにまた偽りの笑顔で笑った。

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はゆー(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です!(*´ `*)これからも、ろい様と力を合わせて更新をがんばっていきたく思っておりますので心待ちにして頂けますと幸いです。あゆみ様をキュン死にさせてみせますのでよろしくお願いします、、!笑 (2019年4月28日 19時) (レス) id: 6a466921ec (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 毎回めちゃめちゃいいお話ありがとうございます…!!1話読み終わる度に投票してもうしてあるので失敗するという流れを繰り返してます…次の更新も待ってます!! (2019年4月28日 1時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» く、口から血が……!?ですが、キュンキュンは抑えません!(笑)これからもドキドキ、キュンキュン全力で恋のサンプルをお届けします! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
灯無 - ろいさん» いえいえ!良かったです(^ ^) これ以上キュンキュンすると口から血が出そうです。楽しみに待ってます! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 126e456bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» ご指摘ありがとうございます!めちゃくちゃ無意識でした!これからははゆーちゃん様と合わせます!更新楽しみにしておいてください、キュンキュンさせてみせます(真顔) (2019年3月31日 16時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年3月31日 2時

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