恋のサンプル【A3!】

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「…言い忘れてた。このギャンブルは一回限りだ。どうする、何か賭けるか？」

「……賭けます」


きっと勝てるはず。そう思い、この一言を言った。すると天馬くんは途端に口角を上げて、笑った。


「じゃあ勝ったやつが命令する形式でいいか？」

「大丈夫です」


自分の手札の5枚を見つめる。大丈夫、ストレートフラッシュなら勝てるはず…！
チップを10枚出して口を開く。


「レイズ、10枚」

「コール」

「手札開示(ショウダウン)、ストレートフラッシュ」


私が開示すると、ニッと口角を上げた天馬くん。……いや、流石にそれは、


「ロイヤルストレートフラッシュ」


天馬くんが開示した手札は確かにロイヤルストレートフラッシュだった。


「オレの勝ちだな」


天馬くんがそう言うと、容赦なく降りかかる声。


「初心者相手にロイヤルストレートフラッシュを開示する馬鹿がどこにいるわけ」

「Aさん、今回は天馬くんの運が良かっただけで…」

「Aさん、初心者じゃないぐらい勝負師すぎてヤべー！」

「おつピコ！2人の勝負、凄かったよん！

「おつかれさま〜。A、さんかくあげるから元気出して〜？」


私の周りに集まる4人と1人、天馬くんに向かって文句を言う幸さん。
すると少し遠くで怒声が聞こえた。


「おい夏組、うるせぇぞ」


……夏組？何か決まってるのかな？
首を傾ける私に対して、椋さんが口を開く。


「最初に少しだけ説明したんですけど、ここには大きく分けて4つの組があるんです。

まずは春組。比較的に温厚です。リーダーの咲也くんもすごく優しいんです！

次にここ、夏組は少し騒がしくて基本的にどんちゃん騒ぎしながらギャンブルをしてます。

次は秋組。怖面の人達ばっかりなんですけど、根は優しいんですよ！ボクの従兄弟で九ちゃんの兄も秋組所属なんです！

最後は冬組。平均年齢が4つの中で1番上なんです！ここの七不思議によく巻き込まれるらしくて…スピリチュアルな人達が多い感じです」


…とにかく個性が強いのはなんとなく理解出来た。それにしても、組があるなんて凄いなぁ。


「…で？ポンコツ役者はAに何を命令するわけ？」

「………お前の存在だ」

「へっ？」

「傍に居てくれるだけでいい。お前が欲しい」

「どういうこと…？」

「っ、これ以上はもう何も言わないぞ。とりあえず傍に居ればいい！」

「は、はぁ…」


私はまだ知らない。これから天馬くんに振り回される事を。

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