Banri Settsu.R ページ26
『愛故に』
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チクタクと時計の音だけが聞こえる図書室。目の前には摂津先輩。だるそうにグラウンドを見ている。そんな姿でさえもカッコよくてついジッと見つめてしまう。
そんなことを思っていたからかもしれない。何かが脳天に直撃してとても痛い。
「いたっ、…ちょっと先輩!」
「勉強しろ、勉強」
「せっかく俺が勉強教えてんだから」なんて呟きながら頬杖をつく先輩。そんな姿を目に焼き付けながらも教科書を指さして口を開く。
「先輩がカッコよすぎるのが悪いんですよ!大体真面目にやってますー!!」
「へーへー、それはもう聞き飽きたっつーの。それにどこが真面目にだよ、全然進んでねぇだろ」
「うっ、……」
私の目線は教科書の近くにある真っ白なノート。何も書かれた跡すらないそのノートは私の心中を表しているみたい。
「せーんぱい、好き」
「知ってる。…つか、手ぇ動かせ」
「ほんとに分かってます?」
疑った目で先輩を見つめる。
いつだってそう。私がホントの気持ちを言葉にして伝えても流すように言われるだけで反応を示してくれない。…気持ち伝わって無さすぎでしょ。
「っ、………」
「は?なんで…泣いてんだよ」
「だってぇ…、私ずっと好きだって言って、るのにっ!」
零れ落ちる涙を手で拭う。白いシャツが微かに濡れてシミになる。
そんなのを気にせずに、ただただ泣くだけ。
「…一回しか言わねぇから。
確かに最初はうぜーだけだったけど、お前が本当に俺の事…好きだって気づいて、」
「っ、はい」
「だからその、意識した、から」
目の前でそう言う先輩の顔は段々と赤く染っていく。それはどこか既視感があるような気がしてしょうがなくて、
「っ……、俺と付き合え」
「せんぱぁいー!!!!!」
「うるせぇ」
先輩の少しゴツゴツした綺麗な手を両手でぎゅっと握りしめる。
「…あれれー?先輩、顔真っ赤ですよ♡」
「ちっ…、うっせー」
「えー?」
からかいながらそんなことを言うから、胸きゅんを代表するような目に遭ったんだ。
「…A」
「へっ、な、まえ!!?」
名前を呼ばれてつい上を向く。すると先輩の綺麗で整った顔がすぐそこにあった。
そして感じたのは額に優しい柔らかな感覚。額を片手で押さえて、先輩を睨みつける。
「へんたい!」
「んなこと言うともう勉強教えねぇぞ」
「それ、は…困る」
「へーへー、早く勉強しろよ。待っててやるから」
「わぁー、先輩大好きです」
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はゆー(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です!(*´ `*)これからも、ろい様と力を合わせて更新をがんばっていきたく思っておりますので心待ちにして頂けますと幸いです。あゆみ様をキュン死にさせてみせますのでよろしくお願いします、、!笑 (2019年4月28日 19時) (レス) id: 6a466921ec (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 毎回めちゃめちゃいいお話ありがとうございます…!!1話読み終わる度に投票してもうしてあるので失敗するという流れを繰り返してます…次の更新も待ってます!! (2019年4月28日 1時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» く、口から血が……!?ですが、キュンキュンは抑えません!(笑)これからもドキドキ、キュンキュン全力で恋のサンプルをお届けします! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
灯無 - ろいさん» いえいえ!良かったです(^ ^) これ以上キュンキュンすると口から血が出そうです。楽しみに待ってます! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 126e456bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» ご指摘ありがとうございます!めちゃくちゃ無意識でした!これからははゆーちゃん様と合わせます!更新楽しみにしておいてください、キュンキュンさせてみせます(真顔) (2019年3月31日 16時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年3月31日 2時