Omi Fushimi.H ページ23
『遠慮不要』
▽
「A、こっち向いて」
「でも……、カメラ向けてるんでしょ?」
「はは……、バレてたか」
軽く目配せしてみれば、彼は私にカメラを向けていたから。
彼は、どうしても私の顔を撮りたいらしい。
「私、カメラアレルギーなんだよ。
それか、撮られるとブサイクに写る病気」
「Aがそう思ってるだけだって。
カメラ向けなくてもこんなに可愛いんだから」
臣くんはいつも控えめなくせにこういうことは言い淀まない。
カメラの先にその臣くんが居ると思うと、どうも平常心ではいられないのだ。
「じゃあ、撮ってもいいけど、
先に臣くんを撮らせてほしい……です」
「俺か?それこそ価値ないだろ」
「じゃあ撮らせてあげられない」
「はは……悪かったって。はい。
撮ってもいいけど面白くないぞ?」
臣くんは首からぶら下げていたカメラを私の首に掛けてくれた。
「ありがとう。おっきいねカメラ。
臣くんはおっきい手でカメラ構えてるんだね」
「そうか?気にしたことなかったな」
頬を控えめに搔いて、控えめに笑んだ。
彼の頬はどこか赤らんで見えた。
パシャっ。
静かなシャッター音が切られた。
「……うん、いい顔してる。
臣くんは普段こんな気持ちなんだね」
「こんな気持ち……?」
「すっごい特別感あるねって話だよ」
「好きな人の顔、
対面とカメラ越しとじゃワケが違うなぁって」
私は続けてそう言った。
カメラの画面に写る臣くんの顔が優しい顔をしている気がして、その顔を人差し指でなぞった。
「……っ。
A、わざとやってるのか……?」
「わざとって?」
「無意識なら尚更タチが悪いな」
苦笑をしながら、彼はカメラを取り上げた。
「今度はAの番」と言って。
「あっ、ちょ。まだ心の準備が」
「大丈夫だ。表情を特に着飾ったりしてない、そのままのAが良い」
本当に彼は恥ずかしいことしか言ってくれない。
またやがてパシャっと機械的な音が響いて。
「どう……?」
「可愛いよ」
真っ直ぐな瞳が反らせてくれない。
「……でもやっぱり」
彼の大きな手が私に伸びてきて。
「こっちの方がいい。好きだよA」
「え、あ……」
「愛してる」
彼の猟奇的な瞳が私を捉えた。
なんとか食らいついて、「私も。愛してるよ」と返せば彼は私を強く抱きしめた。
どうやら私はとんでもない狼に捕まったみたいだ。
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はゆー(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です!(*´ `*)これからも、ろい様と力を合わせて更新をがんばっていきたく思っておりますので心待ちにして頂けますと幸いです。あゆみ様をキュン死にさせてみせますのでよろしくお願いします、、!笑 (2019年4月28日 19時) (レス) id: 6a466921ec (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 毎回めちゃめちゃいいお話ありがとうございます…!!1話読み終わる度に投票してもうしてあるので失敗するという流れを繰り返してます…次の更新も待ってます!! (2019年4月28日 1時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» く、口から血が……!?ですが、キュンキュンは抑えません!(笑)これからもドキドキ、キュンキュン全力で恋のサンプルをお届けします! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
灯無 - ろいさん» いえいえ!良かったです(^ ^) これ以上キュンキュンすると口から血が出そうです。楽しみに待ってます! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 126e456bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» ご指摘ありがとうございます!めちゃくちゃ無意識でした!これからははゆーちゃん様と合わせます!更新楽しみにしておいてください、キュンキュンさせてみせます(真顔) (2019年3月31日 16時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年3月31日 2時