Kazunari Miyoshi.R ページ18
『ペリドットの瞳』
▼
小さな部屋で聞こえるのは鉛筆をサラサラと紙の上で滑らせる音だけ。
ふと顔を上げると、1m弱の所にいるのは三好さん。実はこの人は、高校から大学まで学校が一緒であり、何かと信用出来て尊敬出来る先輩。…こんなこと、本人には言わないけど。
大学で再会出来た時は色々と衝撃が多かったけど、今はもう慣れた。
そんなことを思っていたからかもしれない。三好さんはふと顔を上げた。バチりと目が合って、思わず目を逸らす。
「ちょ、なんでフル無視!?」
「なんとなくです」
「Aっち、相変わらず辛辣!」
一々言動や行動がうるさい。そんなことを思いながらも日本画の発表に間に合わせるために鉛筆を紙に走らせる。
「というか、Aっちってなんですか」
「あだ名?的な?」
「私に聞かれても…」
あだ名、ね。別に嫌いじゃないけど。邪魔な髪を結んで、作業をしてから数分後。今さっきよりずっと近くで声が聞こえた。それと同時に結ばれた髪の毛が解かれる感覚。
「Aっちの髪って綺麗だよねん!」
「なっ、今さっきまでそっちに…」
「作業が行き詰まっちゃったから、こっちに来てみた!Aっちの日本画も見たいし!」
「よく見てるじゃないですか」
三好さんは日本画専攻。私も日本画専攻。三好さんなんてグラフィックデザインも得意だから、よく教えて貰ってる。
スケッチブックと鉛筆を置いて、ため息をつく。
「……三好さん、その手離してください」
「だって、Aっち髪の毛結んじゃうっしょ?」
「結びますけど」
「オレ、Aっちの黒髪綺麗だし、色も好きだから。結ばないで〜!!」
そんなことを言われて、髪を結ぼうとしていた手を下ろす。そして自分の髪、一束を摘んで目に映す。
「この髪の毛、地毛ですけど。それに黒色とか珍しくないですし」
「でも、オレみたいに染めてる奴の方が圧倒的多いじゃん?それに、黒にも種類があるしー…その中でもAっちの黒髪、オレは好き」
…この人のこういう所が、
「そんなこと言っても、黒にだって色々種類があるじゃないですか」
「んー、どっちかと言うと漆黒。でも鉄黒っぽい……」
私の髪を手に絡ませて、たまに梳くように手を動かす三好さん。色の種類を見分けようと真剣に髪を見る三好さんの顔はどんどんと近づいている。
「っ、近いです」
押し退けるように、三好さんの手を掴みそう言った。
65人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はゆー(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です!(*´ `*)これからも、ろい様と力を合わせて更新をがんばっていきたく思っておりますので心待ちにして頂けますと幸いです。あゆみ様をキュン死にさせてみせますのでよろしくお願いします、、!笑 (2019年4月28日 19時) (レス) id: 6a466921ec (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 毎回めちゃめちゃいいお話ありがとうございます…!!1話読み終わる度に投票してもうしてあるので失敗するという流れを繰り返してます…次の更新も待ってます!! (2019年4月28日 1時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» く、口から血が……!?ですが、キュンキュンは抑えません!(笑)これからもドキドキ、キュンキュン全力で恋のサンプルをお届けします! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
灯無 - ろいさん» いえいえ!良かったです(^ ^) これ以上キュンキュンすると口から血が出そうです。楽しみに待ってます! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 126e456bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» ご指摘ありがとうございます!めちゃくちゃ無意識でした!これからははゆーちゃん様と合わせます!更新楽しみにしておいてください、キュンキュンさせてみせます(真顔) (2019年3月31日 16時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年3月31日 2時