Tumugi Tukioka.H ページ15
『彗星の如く』
▽
「紬くんは星には興味ある?」
あれがオリオン座、と指さしながら。
「うーん……あんまりかなぁ。俺の興味はどっちかっていうとお花の方に対してだから……」
小さく苦笑しながら私の指さした方を素直に見てくれる。
「あれが北斗七星。学校で習った?」
「うん、習った習った!柄杓型の星々だよね」
7つの小さな星々を辿るようにして指でなぞった。
「北斗七星はね、
古代中国では死を司る星座だったんだって」
「へぇ……! そうなんだ」
「日本では方位磁針がない時代に指針にされてる星座だったのにね。それ聞いて拍子抜けしたんだ」
紬くんは静かに私の説明を聞いてうんうん頷いてくれる。
「それで、逆に生を司る星座があって。それがあっち側。どこにあるか私もあやふやなんだけど」
“南斗六星”っていうんだって。
「たぶん、夏になったら見えると思う」
「夏か……」
紬くんは静かに俯きがちになった。
「紬くんはまた、夏にも会ってくれる?」
「もちろん。次の夏が楽しみだよ」
指切りげんまんをしてもらって。
小さな子どもみたいに約束をした。
「じゃあ、またね」
「うん、Aちゃんもお元気で」
瞬く間に彼女は消えていった。
星を連れて。
_________
_______
____
「誰だったかなぁ。俺の初恋……」
「え、紬くんの初恋?! どんな子だった?」
「確かね、真冬にこうやって天体観測してたんだ」
「お花と演劇にしか興味がない紬くんがねぇ」
「そっ、そんなことないよ!」
「あっ、ほら。紬くん!あれが“南斗六星”!」
「えっ……?」
呼称を叫んだかと思えば、彼女は星座を指で紡いだ。
俺はこの景色を知っている。
__……また逢えたね。
初恋はキミだったんだね。A。
「A。
それは古代中国では生を司る星座だったんだって」
「え……それ、知ってたの?! 紬くん知らないだろうから自慢げに言おうと思ってたのに……」
「ふふ、残念でした」
俺がそう言ってみせれば彼女は心底残念そうな顔をして。
「ごめんごめん。
キミから聞いたことがあったんだよ」
「え?私、言ったっけ?」
「うん」
キミがただ覚えていないのか、意味があって意図して忘れたのか俺にはわからない。
だけど、すごい運命に出逢ったのだ。
「夜は少し肌寒いから、これ着て温かくして」
「ん、ありがと」
とにかく一生、
大事にできるだけ大事にしようと思った。
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はゆー(プロフ) - あゆみさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて光栄です!(*´ `*)これからも、ろい様と力を合わせて更新をがんばっていきたく思っておりますので心待ちにして頂けますと幸いです。あゆみ様をキュン死にさせてみせますのでよろしくお願いします、、!笑 (2019年4月28日 19時) (レス) id: 6a466921ec (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - 毎回めちゃめちゃいいお話ありがとうございます…!!1話読み終わる度に投票してもうしてあるので失敗するという流れを繰り返してます…次の更新も待ってます!! (2019年4月28日 1時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» く、口から血が……!?ですが、キュンキュンは抑えません!(笑)これからもドキドキ、キュンキュン全力で恋のサンプルをお届けします! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
灯無 - ろいさん» いえいえ!良かったです(^ ^) これ以上キュンキュンすると口から血が出そうです。楽しみに待ってます! (2019年3月31日 22時) (レス) id: 126e456bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ろい(プロフ) - 灯無さん» ご指摘ありがとうございます!めちゃくちゃ無意識でした!これからははゆーちゃん様と合わせます!更新楽しみにしておいてください、キュンキュンさせてみせます(真顔) (2019年3月31日 16時) (レス) id: 221a5d6f5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆろい x他1人 | 作成日時:2019年3月31日 2時