はじめまして ページ4
そこは、不思議な場所だった。
私の目に飛び込んできたのは、色とりどりで豊かと思いきや、所々ページが破られたように虚無が広がっている。ちぐはぐなもの。
「(何もかもあるようで何もない場所だ)」
自然と手に力が籠ってしまう。それがフリスクにも伝わったようで、彼は優しく「怖がらないで。ここは何処よりも安全だから」、と言ってくれた。
「さー!!家はどこにあったかな!!」
そんな私たちを余所にインクは元気いっぱいにそう言った。フリスクが呆れたように笑う。
「二人とも、ついて来て」
家とやらに向かう道中、辺りを見回してみた。人々が笑い合い、助け合ったりする、柔らかな場所。ところで何回もそっくりさんを見つけたけれど、彼らはなんなのだろう?そういえば、インクは並行世界がどうとか言っていた。ここに住んでいる人たちは、本当は一人で、でも並行世界があるから自分と同じ存在が沢山ある。そういうことだろうか?
「着いたよ」
足が止まると同時に、フリスクがそう言った。彼の横顔を見て、そして目の前の建物を見上げる。二階建ての一軒家だった。
「さ、早く二人に君を紹介しなくちゃ!」
「光auの人?」
「そう。インクと同じスケルトンさんだよ。人間が仲間になってくれて僕は嬉しいよ」
「フリスク!?確かに僕ら種族は違うけれど、ちゃんと君のことも仲間だと思ってるよ!?」
「どうだか」
意地悪く言いながらフリスクは鍵を差し込み、回す。ガチャリと音がしたので、鍵を抜き取り、扉を開けた、その瞬間____。
プーーッ!!!
「えっ?」
間抜けな効果音がしたかと思いきや、今度はドタドタと乱暴な足音が迫ってきた。
「えっ、えっ何?」
「大丈夫だよ」
段々と大きくなって来る足音に耐えきれず、ぎゅうっと目を瞑った。暗闇に誰かの声がした。
「インク!!フリスクから聞いたよ!!?また勝手にどっか行ったって!!」
「むぇ!!隣のニンゲンはお客さんか!!?フリスク!」
「うん、紹介するよ。この子はハル。新しい仲間だよ」
そこで声が途絶えたので、ゆっくりと目を開けると...ポカンとした顔のスケルトンが二人、目の前に立っていた。
「え、と...。はじめまして...???」
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作成日時:2022年11月19日 0時