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打ち付けられた衝撃で立ち上がれないのを確認し、間髪入れずに右手を踏みつけてナイフを没収する。
「さあて…逮捕、の前に引ったくった代物を返してもらいましょうか…」
いつの間にやら増えていた尋常じゃないギャラリーの中から引ったくられた人を探し出して返却する。
「お姉さん！大丈夫？怪我してない？」
「……？えぇ…そんな柔な鍛え方してないもの…怪我はしてないわ」
「警察、呼んでおいたよ」
「……ありがとう。コナン君…だったっけ？」
「っ……何で知ってるの？僕の名前」
「そこの店で初めて会った時。…その時あなた、高校生くらいの女の子に呼ばれてたでしょう。"コナン君、帰るよー"…ってね」
＿＿名字は、流石に知らないけど。
「……そっかぁ！お姉さん、記憶力がいいんだね！」
…記憶力がいい……………ね。
「………まぁ、良いことだけじゃ無いのだけれど」
「え………？」
「この世界にいるとね、色々と重宝してくれるけど。学生の頃はよくバケモノって言われてたよ」
「………」
「この能力を褒めてくれる、なんて人達は大体悪い奴らだしね…」
「…お姉さんは、後悔してる？」
＿＿＿この世界に、生まれたことを
悲観するわけでもなく、同情するわけでもなく。ただただ真っ直ぐに私を見る碧く澄んだ眼は、嘘で塗れた私を浄化してくれるような。そんな気さえする。
「それはないかな」
「え…？」
あっさりとそう答えた私に驚き、なんで？と言うように眼を瞬かせていた。
「この能力でこの国を守れるなら、私1人の犠牲なんて安いものよ」
「凄いね、お姉さんは。迷いなくそんなこと言えるんだもん」
「…ありがとう」
そうだろうか
私はそんな出来た大人じゃない。自分を犠牲に、なんて。そんな考えができるのは1度人生を生きたからだ。それに比べて自身の身を犠牲にしてこの国を最優先に護り、愛することができる彼が羨ましく思える。
「…じゃあ、僕の仲間になってくれる？」
「……小学生の君が、私を？」
「勿論、タダでなんて言わないよ」
「っ？！……君、普通の小学生じゃないね」
「……お姉さんが誰にも言わないって言うなら、僕の事突き止めても良いよ」
驚いた。こんな度胸のある小学生…否、きっとこの子は小学生じゃないだろう。成る程…
＿＿見つけた、私の趣味
続く
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作者名：葵依 | 作成日時：2017年10月28日 22時
