144話 派手な街へ ページ46
そそくさとコルトピと別れた後、Aは手に持ったままのサンドイッチを見て、もう一口かじった。
コルトピが作ったサンドイッチは間違いなくおいしかった。
しかしどれだけ咀嚼を続けてもパンが口の中の水分を持っていくだけで、一向になくなる気配がなかった。
(どうしてかしら…、しばらく食べ物を口にも入れてないし、おいしいのに…飲み込めない)
まだ口の中にパンが残っていたが、もう一口とサンドイッチに口を近づけた丁度その時、「A、支度終わったの?」とマチが通路から出てきた。
「ええ、まあ。マチも?ワンピース、素敵ね似合っているわ」
マチも仕事に向けて支度を済ませたらしく、黒色のロングワンピースを身に着けていた。
今夜彼女は突入班であるあため、動きにくいドレスを避けたようだ。
「Aこそよく似合っているよ。…そのサンドイッチ今朝の?」
マチはAのドレスを褒めつつ、サンドイッチを指さした。
「ええそうコルトピのよ」
「アタシも少しお腹が空いたから何か食べたいな…まだサンドイッチ残ってた?」
珍しく空腹だというマチは自分のお腹を軽くさすった。
「マチ、食べかけでもよかったらこれ食べないかしら。実はこれ最後の一つだったの」
「え、ありがとう…けどAは?」
少し不思議そうにサンドイッチを受け取ったマチは首を傾げた。
「え、ああ…お腹、空いてなかったみたいだから気にしないで」
どことなく困ったような笑顔に見えるAの顔が印象的だったなとマチは後で思った。
だか特に深く気に留めることなくマチはもらったサンドイッチを頬張った。これで少しは今夜の仕事が頑張れそうだ。
一方Aは胸元に入れ込んでいた携帯電話を取り出して時刻を確認していた。
「マチ、案外もう時間になるわ。それを食べたら目的地へ向かいましょう」
「本当だ、行かないとね」
サンドイッチを食べ終わった後、二人は最後の身支度と情報の最終確認を済ませて目的地まで向っていった。
今夜の目的地は噂通りの派手な街だった。深夜二時前だというのにどこもかしこもキラキラと明るく、見るからに羽振りのいい人々で賑わっていた。
おかげで目がチカチカして仕方がなかった。
いろんなことがやりたい放題できそうなこの街だが、蜘蛛たちにはそんなことをしている暇はさらさらないので早速彼らは班ごとに解散してそれぞれの持ち場まで移動した。
今夜も蜘蛛たちの腕がなる。
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ダイヤ - 喘ぎ声 (2022年8月5日 22時) (レス) @page41 id: 27e98af43e (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ピポ助さん» コメントありがとうございます!旅団のみんなと夢主さんの理解が繋がる日が書けるといいなと思っているので、また更新したら覗きにきてくれると嬉しいです^^ (2019年10月29日 8時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ピポ助(プロフ) - コメ失礼します!この作品すっごく好きです、、夢主健気、、、旅団のみんなもわかってあげて欲しい!!続きが楽しみです!更新待ってます、頑張って下さい! (2019年10月29日 1時) (レス) id: 4111e46406 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - なにもしたくない系女子さん» そうなんですか!ありがとうございます^^引き続き楽しんでいただけると嬉しいです^^ (2019年10月27日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
なにもしたくない系女子(プロフ) - 更新待ってました!お疲れ様です! (2019年10月27日 18時) (レス) id: 0b49310475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカヅチイヴ x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月26日 22時