141話 ある気づき ページ43
恐る恐る黒いドレスに体を通した。
ふわっと揺れた裾から木の匂いが香った。
ドレスを身にまとった後、Aは部屋に一つだけあるひびが入った鏡の前に自分の姿を映し出した。
鏡には黒のドレスとあまり表情の無いAの顔が存在していた。
そして後ろに妹の笑った顔が見えている気がした。
昔妹に褒められたあと、黒色の衣類を身に着けたことがなかったが蜘蛛に入団した今現在、むしろ黒色ばかり選んでいることにAは気が付いた。
今考えると、無意識のうちに妹が褒めてくれた色を身に着けることで自分の不安を覆っていたのかもしれないとも考えた。
しばらく鏡で真正面から自分のドレス姿を眺めたあと、左右からの確認をしたり、回ってみたりして後ろ姿なんかも確認した。
「…、少し露出しすぎかしら」
鏡に背を向けて肩越しに後ろ姿を確認しながらAは呟いた。
背中はブイ字型に大きく開いているデザインであるため無防備にも肌が多めに出てしまう。
普段スーツを着ていることが多いため布がないことによる違和感が気になったようだ。
「まあ今回だけだし気にしないことに…、え？」
最初は肌が出ていることが気になっていたAだが途中で何かに気が付いたようで、鏡越しに気になった場所を凝視した。
そしてAは左手を背中に回してゆっくりと背骨をなぞった。
「…。」
次に鏡と正面に向き直って、こちらも露出している鎖骨を指でなぞったり二の腕をさすったりした。
(っ…。)
するとAは額にぐっと沢山の皺を寄せて顔をしかめた。
「そんなに顔をしかめたらせっかくの美貌が泣くんじゃないか？」
考え事に夢中になっていたAは声の主が扉の前にいることに気が付かなかったため、慌てて姿勢を正して振り返った。
「ク、クロロ…？」
そこにいたのはスーツ姿に髪を下した我らが団長クロロだった。
どうやらA達が古書を盗りに行く間、彼はある富豪と会食という名の情報収集があるようで、そのために正装をしているらしい。
「なるほどね。美味しい食事がいただけるといいわね」
Aは動揺を隠すかのように髪をかき上げてから、大して乱れていないドレスを手で払って直したり咳ばらいをした。
その様子をみてクロロは困ったように薄く笑うとAのすぐそばまで歩いてきた。
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ダイヤ - 喘ぎ声 (2022年8月5日 22時) (
レス) @page41 id: 27e98af43e (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ピポ助さん» コメントありがとうございます！旅団のみんなと夢主さんの理解が繋がる日が書けるといいなと思っているので、また更新したら覗きにきてくれると嬉しいです＾＾ (2019年10月29日 8時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ピポ助(プロフ) - コメ失礼します！この作品すっごく好きです、、夢主健気、、、旅団のみんなもわかってあげて欲しい！！続きが楽しみです！更新待ってます、頑張って下さい！ (2019年10月29日 1時) (レス) id: 4111e46406 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - なにもしたくない系女子さん» そうなんですか！ありがとうございます＾＾引き続き楽しんでいただけると嬉しいです＾＾ (2019年10月27日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
なにもしたくない系女子(プロフ) - 更新待ってました！お疲れ様です！ (2019年10月27日 18時) (レス) id: 0b49310475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカヅチイヴ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年10月26日 22時
