125話 摂理 ページ27
「「A」」
「あは…来たの」
Aはマチとパクノダを見上げるような形で首を上げて後ろへ倒した。
Aは笑っているような笑っていないような顔をしていた。
「Aはこんなところで何をしていたの?」
パクノダが困ったように眉を下げて聞いてきたことに対してAは「いいえ、何も…」と答えた。
「いーや嘘だね。A、あんた仕事してたんでしょ?シャルナークに取り上げられたパソコン持ち出してるんだから。」
今度はAの返事に対してマチが詰め寄った。
マチはついでにAの周りを見回してパソコンを探した。
だが、確かにシャルナークの元ならパソコンは持ち出されているはずなのにどこにも見当たらない。
「A、パソコンは?」
立て続けにマチがきいた。
するとAは自分の位置から麓まで線を描くように指をさした。
その軌跡を辿るとパソコンの部品がバラバラになって道を作っており、一番核となっている部分が麓に転がっていた。
「落としたの?」
「あはは違うわよ。あんな大事なもの落とすわけないじゃない…」
あんな大事なもの落とすわけない…とAは言っているが、現にパソコンはゴミ山を転がって壊れている。矛盾している。
意味が分からなくてマチは「は?」という表情を見せた。
「そんな顔しないでよマチ…落としたんじゃない。捨てたの…」
「捨ててしまったの?大事なものでしょ?」
パクノダも訳のわからないことを言うAを心配したような表情で見つめた。
「どうして?」
そしてパクノダは理由を問うた。
「…ここの摂理をみたから。私はさっきこのゴミ山の中腹で生まれたばかりの赤ちゃんが死ぬのをみたわ。なんだか、命をみた気分だったの…。この場所では人の命に干渉する…そんな仕事をする気分にはなれないわ…」
Aは首の位置を戻して正面へ向き直った。
「それにね、あなたたちとこの場所を知るには自分もそれ相応の対価を支払わなければいけないと思ったわ。ねえ…聞いてくれる?私の話。」
Aはじっと月を見つめていた。
だからもしかして、月に話しかけているのではないかと思われるような雰囲気だったが、きっとAは自分については不器用だからそういう風にしか振る舞えないのだろうと気づいたマチとパクノダは黙ってAの両脇にそれぞれ腰を下ろした。
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ダイヤ - 喘ぎ声 (2022年8月5日 22時) (レス) @page41 id: 27e98af43e (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ピポ助さん» コメントありがとうございます!旅団のみんなと夢主さんの理解が繋がる日が書けるといいなと思っているので、また更新したら覗きにきてくれると嬉しいです^^ (2019年10月29日 8時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ピポ助(プロフ) - コメ失礼します!この作品すっごく好きです、、夢主健気、、、旅団のみんなもわかってあげて欲しい!!続きが楽しみです!更新待ってます、頑張って下さい! (2019年10月29日 1時) (レス) id: 4111e46406 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - なにもしたくない系女子さん» そうなんですか!ありがとうございます^^引き続き楽しんでいただけると嬉しいです^^ (2019年10月27日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
なにもしたくない系女子(プロフ) - 更新待ってました!お疲れ様です! (2019年10月27日 18時) (レス) id: 0b49310475 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカヅチイヴ x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年10月26日 22時