96話 そよぐ風 ページ48
シャルナークはちょうど部屋にあった長年座ってもらえなかっただろう椅子の座面に乗った砂埃を手で払いのけてからそれに座った。
「A、妹に何かあったの？」
シャルナークは自分の顔に見向きもされないことを気にしないで真相を確かめるために質問をした。
「…どうしてそう思うの」
Aは疑問文だったが普通の文と変わらない語尾のトーンで逆に聞き返した。
「どうしてって言われてもなあ…だってAが妹のところへ出かけるって言った日にこうなったからだよ」
逆にここ以外で疑う場所がないというのはAも知っていただろうが、言いたくないことでもあるのかストレートには答えてくれなかった。
「妹が」
「うん」
………
「重い病気になった。そう、病気になったんだ」
Aはシャルナークが座ってる方向に背を向けて横になってしまった。
「病気？そう、なんだ。それは気の毒だね」
大切な妹が病気にかかったらしい。
Aはそう教えてくれた。
でもなぜだろう。病気になったんだ、その言葉はまるでA自身を言い聞かせているようにも聞こえた。
「…治らないの？」
「わからない」
「そうかあ…」
シャルナークは頭の後ろで腕を組んで、背もたれへ体重を預けてベッドの上にある窓を見つめた。
Aの部屋は日当たりが悪くて、日がささない。外もきれいでないため締め切っている。だが、今日は誰かがやったのか珍しくその窓は開いていた。
するとそこからそよ風とでも言ったところか、そんな風が優しく室内に入り込んでシャルナークとAの髪を揺らした。
こんなに僕らは不幸と顔を合わせているのに、地球はまるで僕らに興味ない。
優しい風を当てられてもまるで幸せにはならない。
この優しい風が逆にシャルナークとAを暗い方へ方へと追いやった。
ピシャッ！
突然窓を閉める音が聞こえたのでAはベッドの上にある窓を見た。
するとシャルナークが無表情で窓をきっちり締め切っている様子が見えた。
シャルナークはしばらく片手を窓に当てたまま何か考えていた。
しかししばらくしていつもの青年らしい顔つきにもどる。
「流星街でこんな風は吹かなかったよね」
「え…あ…ああ…うん…、、(流星街…)。」
シャルナークは唐突にそんなことを言って困ったような笑顔を見せた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - あやはさん» ありがとうございます＾＾あやはさんも受験勉強頑張ってください！＾＾ (2019年8月16日 10時) (
レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - すごくいいところに来ててわくわくしてます笑受験勉強の息抜きにすごく助かってます！これからも頑張ってください！ (2019年8月15日 22時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ゆっずーさん» 応援ありがとうございます＾＾これからも読んでもらえると嬉しいです！ (2019年8月7日 19時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - フェイタンもフィンクスも皆面白い笑笑更新お疲れ様でした！また頑張ってくださ〜い！ (2019年8月6日 23時) (レス) id: 9ee8873612 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ひがんさん» なるべく毎日更新頑張りますね！ (2019年8月2日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミカヅチイヴ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月22日 12時
