77話 童話 ページ28
シャルナークが質問をした時Aは少しだけ動いた。
その拍子に転がる小石たちがジャリッ…と鳴ったがその音はAがシャルナークの質問を受け付けたくないかのように聞こえた。
「…ごめん、いや?」
Aは自分を何かから守るように背中を丸めてしまった。
(やっぱり教えてはくれないか…)
今までAがつらつら自分語りをしたのをみたことがなかったので、〈あの日〉については簡単に教えてくれないであろうということは予想していた。
しかし、今なら少しくらい話してくれるんじゃないかと淡い期待を抱いていたがAが教えてくれる気配がないのでシャルナークは少しだけ残念に思った。
「じゃ〜…昔話をしよっか」
シャルナークはこの話題もAが嫌がることを知っていたがこっちはどうだ!と思って聞いてみた。
「…いや。」
Aはそっぽを向いたまま答えた。
しかし、いつもならAは「昔は」という感じに切り出した瞬間アサシンとしての目がひかり、そこから先は言うな…言うなら殺すと訴えかけてくるのに、今日はそれがなかった。
Aの体を覆っているオーラの流れを見ても比較的穏やかだった。
(今日はいけるかな…)
シャルナークはこう踏んだ。
「むか〜し、むか〜し…あるところにAという女性がおりました」
「……ふふ」
シャルナークがまるで子供に童話を読み聞かせるように話を始めると先程まで表情がなかったAが少しだけ笑った。
「ねえ…そのむか〜し、むか〜しってどのくらい昔なのかしら?」
Aは寝転びながら振り返った。
この時の声はもう普段の音をしていた。
顔も血色が戻っており、いつもの余裕を感じさせる雰囲気まで取り戻していた。
Aがやっと乗ってきたので、それに気を良くしたシャルナークはさらに続けた。
「ん〜…何千年も前の話かな〜」
「あら…それじゃあ私は一体今何歳なのかしら」
シャルナークがニコニコしながら冗談を言うのでAの口元も自然に緩んだ。
「あはは、ごめんごめん」
シャルナークはまたにこにして言った。
そして振り返ったAの顔をじっと見つめた。
シャルナークは笑っていたが一瞬だけ真剣な目になる。このタイミングで昔話をしていいのかどうか考えたようだ。
「ごめん、じゃあここからが本当の昔話だよ。数年前の蜘蛛の話だ…」
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ミカヅチ イヴ(プロフ) - あやはさん» ありがとうございます^^あやはさんも受験勉強頑張ってください!^^ (2019年8月16日 10時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - すごくいいところに来ててわくわくしてます笑受験勉強の息抜きにすごく助かってます!これからも頑張ってください! (2019年8月15日 22時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ゆっずーさん» 応援ありがとうございます^^これからも読んでもらえると嬉しいです! (2019年8月7日 19時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - フェイタンもフィンクスも皆面白い笑笑更新お疲れ様でした!また頑張ってくださ〜い! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 9ee8873612 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ひがんさん» なるべく毎日更新頑張りますね! (2019年8月2日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカヅチイヴ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年6月22日 12時