52話 我慢の時間 ページ3
ミラーごしに目があったフェイタンに、少女を殺したらタダじゃおかないわよとアイコンタクトを送るとフェイタンはぷいっとそっぽを向いた。
「全く油断も隙もないわね…」とAは独り言を言いながらエンジンをかけハンドルを握った。
今日は晴天でとても天気がいいから窓を開けてドライブなんかしたらどんなに気持ちがいいだろうか、
そんなことをふと思ったりもしたがそんなことが出来るはずもなく諦めた。
道中、細くて暗い道や人通りの少ない裏道を見つけた時はいつもの癖でそちらにハンドルを切ってしまいそうだったが、今日は少女の命を預かっている身なのできちんとした一般道を走ることにした。
信号に捕まったりした時は「ああ〜…このまま突進していきたい」とか、「もう車でひき殺してけば早いのに」など蜘蛛らしい思考回路をしていたがここは我慢だ…と踏みとどまった。
どうも安全運転とは慣れないものだ。
何度目かの信号でフェイタンがAの頭の中を察したのか「ハハ、Aが安全運転なんてワラエルネ」と嫌味を言ってきた。
「あはは…それはどうも…」
こめかみの血管が浮き出そうなくらいイラっとしたがここは我慢した。
フェイタンとの会話で気がそれてしまうといけない。
「あと何故遠回りするか」
「気を使って運転しているのよ」
どうやらAが目的地まで少し遠回りしながら運転していることにフェイタンは気づいたようだ。
何故かというとなるべく死角になる建物が並んでいない道をわざわざ選んで車を走らせているからだ。
「だいたい私はバックアップ担当だし、護衛など専門外だから襲撃されたら面倒ごとになる」と思っていたが口に出すことはなく沈黙が続いた。
守ろうと思って守れたものなんて一つも無いし…
もしも私があの時…
…
プップッー!!!!
「ハッ…!」
後ろから鳴らされたクラクションに驚いて顔を上げるといつのまにか信号は青色に変わっていた。
(いけない…また過去の物思いにふけってしまったわ…)
「お姉さん大丈夫…?」
考え込んで信号に気づかなかったAを心配してか少女は体を軽く傾けながらきいた。
「え、ええ…。ごめんなさい」
我にかえったAは考え事を吹き飛ばそうと頭を軽く左右に振って気を引き締め直した。
「さあ、もう半分であなたの家につくわ…」
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ミカヅチ イヴ(プロフ) - あやはさん» ありがとうございます^^あやはさんも受験勉強頑張ってください!^^ (2019年8月16日 10時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - すごくいいところに来ててわくわくしてます笑受験勉強の息抜きにすごく助かってます!これからも頑張ってください! (2019年8月15日 22時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ゆっずーさん» 応援ありがとうございます^^これからも読んでもらえると嬉しいです! (2019年8月7日 19時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - フェイタンもフィンクスも皆面白い笑笑更新お疲れ様でした!また頑張ってくださ〜い! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 9ee8873612 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ひがんさん» なるべく毎日更新頑張りますね! (2019年8月2日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカヅチイヴ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年6月22日 12時