66話 釣れないやつ ページ17
「はあ…帰ろう…、、」
Aはいつにも増して重たいため息をついてからアジトへ帰るべく車のハンドルをきった。
車には自分1人だけとなってしまった。
もう行きのように建物の死角などは気にしなくてもよくなったから乱雑な運転をしに適当な道を選んでもよかったのだが、なぜかそんな気分にもなれず普通の道路を使ってダラダラ帰った。
夕日がかなり沈んできた頃、
Aはようやくアジトへ到着した。
よろよろと車から降りて地に足をつける。
しばらく座っていたから足に血液がうまく回っていない感じがした。
疲れに加え、浮腫んだ足がさらに重さを感じさせた。
「もう今日は何もせずに眠ってしまいたい…」
独り言を呟きながら毎度おなじみ立て付けの悪いアジトの扉まで向かっていった。
なんだか駐車した場所からアジトまでいつもより遠いなあと感じていた時、Aの背後で人の気配がした。
「っ…!誰?!」
疲れなど無視して全力で振り返って背後の人物を確認する。
「おお、Aじゃねえか」
「あ…ノブナガ…」
後ろには幻影旅団の団員の1人であるノブナガが立っていた。ノブナガからは血の匂いがしなかったから、おそらく適当に出かけていたのだと推測される。
「今帰りか?」
ノブナガは見ればわかるであろうに、挨拶がわりのつもりかこんなことを聞いてきた。
「ええ…そうよ。今帰ってきたところ…」
「へえ、そうかい、オメェが夕方に帰ってくるなんて珍しいなあ」
「あはは…そうかしら…」
別にノブナガのことが嫌いとかではないが、今は疲れているのでAは今の状況を少し面倒くさいと思っていた。
だから、愛想笑いで返事をして早く話を切り上げようとした。
早くアジトへ戻りましょうと言わんばかりにAは進行方向にくるりと向き直って歩き出そうとした。
するとノブナガはまたそれを引き止めた。
「なにかしら…ノブナガ…」
「まだ夕方だ」
「?ええ…」
ノブナガは何が言いたいのかわからない遠回しな発言をした。
「まだ夕方だ」
「?ええ…だから何かしら…」
ノブナガはまた同じことを言った。
「はあ…釣れねえなあAさんよ、昔のオメェならこのセリフだけで反応してくれてただろ?」
「…」
「やろうぜ…久しぶりに」
そう言ってノブナガは腰に下げた刀に手をかけた。
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ミカヅチ イヴ(プロフ) - あやはさん» ありがとうございます^^あやはさんも受験勉強頑張ってください!^^ (2019年8月16日 10時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - すごくいいところに来ててわくわくしてます笑受験勉強の息抜きにすごく助かってます!これからも頑張ってください! (2019年8月15日 22時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ゆっずーさん» 応援ありがとうございます^^これからも読んでもらえると嬉しいです! (2019年8月7日 19時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - フェイタンもフィンクスも皆面白い笑笑更新お疲れ様でした!また頑張ってくださ〜い! (2019年8月6日 23時) (レス) id: 9ee8873612 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ひがんさん» なるべく毎日更新頑張りますね! (2019年8月2日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミカヅチイヴ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年6月22日 12時