61話 きっかけ ページ12
少女はずっと両親を抱きしめるかのように覆いかぶさっていた。
Aは念のため先ほど拾った銀髪を一本を口のついた小さなプラスチック袋に保存してからゆっくりと少女に近づいて、ぽんっと優しく肩に手を置いた。
なんて声をかければ良いのか。
いつもは人を殺す側だから正直そこらへんのことはよくわからなかった。
Aはまず自分のジャケットの内ポケットに手を突っ込んで手のひらサイズくらいの長方形の紙を少女に差し出した。
「…うう……お、ね…えさん？」
涙と鼻水で顔をグチャグチャにしたまま少女は震え震え振り返った。
少女はただ差し出された紙に気づきそれを受け取った。
「なに…こ、れ…」
Aはなにも言わなかった。
ただ絶望の淵にいる少女と目を合わせてからフッ…っと悲しそうに笑った。
「もう私の仕事は終わったわ…」
Aは最後に軽く少女の頭を撫ででからまっすぐ出口へ向かった。
少女は行ってしまったAと亡くなった両親を交互に見たりを繰り返して途方に暮れていた。
「わたし、わたし…これから…どうしたらいいの？」悲しみと不安とと様々感情が混ざって涙が止まらない中、少女はAに無言で渡された紙を見た。
そこにはただAと書かれた名前とハンター協会の住所だけが示されていた名刺のようなものだった。
少女が紙の内容を確認した時、Aは丁度車へ乗り込んだところだった。
「っ…」
Aは何か疲れたのか車に乗り込んだ瞬間、ハンドルにもたれかかって頭の重さを預けた。
(ああ嫌だ…。子供は嫌だ。ああいった子供を見ていると昔の自分が重なって嫌になる。同情するな。しちゃダメだ。私はもうこんな感情を持っていい人間じゃない。もっと非道にならなくちゃ…。)
Aは誰にも状況が伝わらない独り言をずっと頭の中で呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - あやはさん» ありがとうございます＾＾あやはさんも受験勉強頑張ってください！＾＾ (2019年8月16日 10時) (
レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - すごくいいところに来ててわくわくしてます笑受験勉強の息抜きにすごく助かってます！これからも頑張ってください！ (2019年8月15日 22時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ゆっずーさん» 応援ありがとうございます＾＾これからも読んでもらえると嬉しいです！ (2019年8月7日 19時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっずー(プロフ) - フェイタンもフィンクスも皆面白い笑笑更新お疲れ様でした！また頑張ってくださ〜い！ (2019年8月6日 23時) (レス) id: 9ee8873612 (このIDを非表示/違反報告)
ミカヅチ イヴ(プロフ) - ひがんさん» なるべく毎日更新頑張りますね！ (2019年8月2日 22時) (レス) id: e1903f9ba5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミカヅチイヴ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年6月22日 12時
