たかしくんと彼女さん。

デート ページ8

デート


「A、準備できた？」


「ん！できた！」



たたた、と脱衣所から出て来たAは

珍しくスカートを履いていて、髪が少しくるんとしている。


「どう？」


くるくる、と俺の前で回ってみせる。


「ん、かわいい。」


Aはいい意味ですごく素直だ。

褒めて欲しいと思えばそれなりにアピールするし、

怒ってる時は何が嫌なのだ、とストレートに伝えてくる。


だから、喧嘩になることも少ないしもどかしい思いをすることもない。



「今日はあのスニーカーじゃねぇの？」


「うん、今日は少し背が高くなるの」

生真面目に答えるAに笑いながらドアを開ける。


「なんで笑ってんの笑」


「別に、」


「ん？エリカ様？」


「違うから笑」


よくエリカ様なんか知ってたな、



「はい」

「ん、ありがと」


前々から約束していたドライブ。



Aはナビが上手だ。

車線変更も、標識も何気によく見てくれている。




「今日はどこ行くの？」


「うみ、かな」


「海！」


「何食べたい？」


「あいす、」


どうやら、今日も行き当たりばったりのドライブになりそうだ。



「この前ね、学校でね、…………」



ドライブに行くと、

車の中で、俺の知らないAの世界をたくさん話してくれる。



嫌だったことも、楽しかったことも、がんばったこともぜんぶ、



「聞いてる？笑」


「聞いてるよ、」



なんだって聞いてるよ、


年頃の恋人みたいに

いつも一緒にいてあげられないから

気持ちはそばにいてあげたい。


「あ、アイスファクトリーだって！いこ！」


「ん、」


「limited？…あ、期間限定ってことか！

たかしくんなににする？」



「いちご、」



「おっけっけー！」



細かいことは全部Aがやってくれる。

お勘定をするのは全部俺だけど、


＊＊＊

(おいし？)

(おいしいよ)

((ほっぺたについてる))

(…っ！)

(あまい、)

((…やられた、))

がんばったのに、→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す