虎と兎。

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鈍い音がなった時




聞き覚えのある声が聞こえた






｢あー!!最悪!!｣




｢"今更泣き叫んでんじゃねーよ｣





男達は気持ち悪い笑みを浮かべて



何故か優越感にひたっていた






私はあんたらなんかよりも



もっと会いたくない人がいるんだよ






逃げようと思ったのに




｢あんたらのせいで!!見つかったじゃんか!!｣




｢"は??｣





腕を抑えている力が緩くなったのがわかり



腕を振りほどき馬乗りになってる男を思い切り押して






声のした方とは逆に走り出した






｢"おい!!逃げんな!!｣




｢やばい…｣





もうぶっちゃけあの男達はどうでもいい




早く逃げないと





もっとめんどくさいことになる






サッと後ろを振り返ると人影が1人増えていた





｢危なかった…｣




パッと前を見ると男の人がたっていて






｢捕まえた｣




｢えっ…!｣





走ってた勢いのまま男の人に捕まった





｢逃げないでね、別に取って食ったりしないから｣




｢…｣





こういう人絶対怖い




だけど、逃げないと行けない





｢あの、私用事があるんで…離してもらっても?｣




｢だめ、用事なんかないでしょ行くよ｣




腕を引っ張られ、歩き出すと




前から勢いよく誰かが走ってきた





｢ジフナ!!｣




あぁ、もうダメだ終わった




最悪だ





｢…｣





｢スニョンからは逃げられないよ｣





｢え?｣





可愛い顔してすごい怖いこと言ってるんだけどこの人






｢頑張ってねAさん｣





｢待って、どういう事…｣





｢スニョン、さっきのやつらは?｣





SN｢逃げてった。もうここには近寄らないと思う｣




チラッと手を見ると傷があった




あ、殴ったんだ



力で抑えたんだ…





この人思ってたよりももっとやばいかも






すっと掴まれていた腕が離された





だけど、二人はこっちも見ずに話をしていて







逃げろって言ってるようなもんじゃん


1歩後ろに下がった時




ザッと砂が擦れた音がした




SN｢で?何でまたここにAがいるんだよ｣




｢…っ!｣




ギリっと細い目が私を捕らえた





逃げなきゃ、いけないのに




逃げられない





虎が私を狙ってる





このままここに立っていれば



喰われる





喰われる前に




逃げなきゃいけないのに









虎を前にして足が竦む小動物になったみたいに動けないんだ

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