検索窓
今日:26 hit、昨日:20 hit、合計:2,177 hit

第四十四話 トランプ ページ45

「あらあら、面白い子ねぇ。こんな時でも味方を守る行動?」

「本当、健気で愚かで」


笑えるわねぇ、と言ったカシスの表情は「無」だった。

ぞわり、と背を這う何かが通り過ぎたと思えば、

ディアのシルクハットは真っ二つに斬られていた。

右半分がぼろぼろになったシルクハット。

そんな物は気にとめず、そばに落ちていたスペードのトランプをディアは取る。


「オレは生憎、まだ、死ね、ない、んで、ね」

「強がっても無駄よ〜?だって、あのギフトが死ぬ気で用意したお茶を途中で誤飲してしまったのでしょう?」

「あれを飲んで未だ立っていられるのは…実験の時に手加減させる様いったからかしらね?」

「じ、実験…?」

「そう、実験」


そう、カシスは言って武器をどこかへ消す。

両手をぱっ、と広げて踊り場で半透明の羽を震わせる。

にっこり微笑んで、月の光を存分に受ける姿はまるで聖母の様だった。


「毒をどれだけ自分に副作用をなくすかのね」

「それが、さっきの、わ、ざと、何か、関係、ある、のか」

「うふふ、ちょっとした忠告をしてたのよ」

「あっちはねぇ、気に入った子は中々殺さないの」

「え、で、でも、あのコウモリの様な人が殺されていたのは…?」

「簡単な話よ。面白くも何にもない。自由な行動はまだ許していたわ。
でもね、あっちの期待を裏切り、挙げ句の果てにはアトリを見捨てた」

「それはねぇ、あっちには絶対に許せない。
だからあっちはあの子を「見捨てた」同じ出血多量で見捨てたの」

「そ、そんな事…!」

「もう良いの。どうせ死んでも黄泉の国に行くだけだし」

「黄泉の国にさえ、もういけるかどうかあやふやな線まできてる」

「まぁ、一つ言えるのは」

「地獄はここより遙かに居心地が良いでしょうね」

第四十五話 地獄→←第四十三話 毒



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (16 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みお - 終了パーティ開催だーー!(今書いている派生作品で後日談を書こうと思います!) (3月27日 21時) (レス) @page50 id: 9b744e7a21 (このIDを非表示/違反報告)
悪食 - わぁー!終了した…!お疲れ様でした〜! (3月27日 18時) (レス) @page50 id: 2373853ba8 (このIDを非表示/違反報告)
みお - カシス様ァァァァ( (3月27日 15時) (レス) @page47 id: 9b744e7a21 (このIDを非表示/違反報告)
みお - あとはネルお嬢様とカシス姉さまだけ…? (3月27日 15時) (レス) @page46 id: 9b744e7a21 (このIDを非表示/違反報告)
みお - 円陣はずれさん» 大泣き(汗) (3月26日 20時) (レス) id: 9b744e7a21 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハイムーン | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年3月3日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。