じさつ願望、叶えて差し上げます (ページ41)

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第四十話　肉塊ページ41

「いッだ！？」

「醜い！醜い醜い醜い！どうしてその目をあっちに向けるの！！
こんな醜いの、あっちは知らない聞こえない分からない！！」

そう言って一心不乱に鏡と薬をまき散らす。

先程よりも量が多い上、鏡も破片の先がさらに鋭くなってこちらをみてくる。

そしてその矢先。

カシスが何かを察知し、動かした鏡がナニカを受け止める。

「……えっ、う、そ…？」

ぐちゃっと近くで音がしたかと思うと、カシスの近くに待機していた鏡が「ナニカ」を受け止めた。

その「ナニカ」をみてネルは息を呑む。

ウェイの残骸が、鏡の上で紅を散らしていた。

ぽた、ぽた…とウェイから出るその夥しい量の血液が、もう助からない事を示唆していた。

「あ、はは……ッ！嘘じゃないわ、本当よ！
いきなり上にあがってきてじさつする、って言って薬を飲んで首をつったのよ。
だからここまで上がったの。一応見せて上げる為に瞬時に鏡を使ったの、すごいでしょ？」

ねっ？と無邪気にも見えるその笑みを見せるカシスは、本当にこの話の重さを分かっているのか。

そう疑いたくなるほど、楽しげに笑っている。

先程まではぁ、はぁと息を切らしながら怒り狂ってた人とはまた別人の様だ。

「貴方…！」

「うふふ、もうどうでも良いでしょ？
みーんな、どっかいっちゃうんだったら。どうせなら楽しんじゃえばいいのだから！」

きゃは、とその割れたハートの目を向けて、ネルに言い放った。

先程の攻撃で力を使い果たしたトモリはもう二度と動く事はない。

だからと言って一人で叶う相手でもない。

そう思ったネルは、一人悔しく歯を食いしばったのだった。