じさつ願望、叶えて差し上げます

第二十七話　理解 ページ28

「……先ほどから雰囲気が、変ってます…よね？」

「ああ、多分ここが、拠点だ」


そう言ってディアは雰囲気の変った空間を眺める。

先ほどまで血に塗れていた柱は綺麗にされており、

壁もステンドグラスのようなふしぎな雰囲気を纏っている。

天井には派手すぎない位のシャンデリアに、おそらく高級と思われる家具達。

誰かの趣味だと思われるワインセラーやグラスが置いてあった。


「なら、探せば…！」

「ああ、逃げてなければボスが居るはずだよ。まあ僕らのボスが逃げるはずないけど」

「僕らのボス…？何をいってるの？エンテェーのボスはトモリさんですよ？」


そう言って不思議そうにウェイを見るトモリ。

ウェイは懐から一つ、薬のカプセルをごくん、と飲み込んだ。


「ねえ、何してるんですか、ウェイさん…？」

「……ネル、今ウェイは危ないんだ、おそらくシュビッシッ

「感が鋭くて何よりだよ。」


ディアが言い終わる前に水を作り出して鉄砲の様に撃つウェイ。

……どうやらディアの言った通りの様だ。


「僕はもう飽き飽きなの」

「君達みたいな偽善者の集まりなんて、意味が分からない」

「どうして、どうしてこんなに救って欲しくて苦しんでる人が近くにいるのに」

「なんで僕達が反旗を翻している事に疑問を持たない？」

「何故、僕達がここまで苦しんでるのを理解しようとしない？」

「もう一度。何も分かっちゃいない癖して、全部分かった顔をしている君達(ユーモアのない大人達)に問う」

「なんで、理解しようとしてくれないの！！」

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