じさつ願望、叶えて差し上げます (ページ22)

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第二十一話　水中ページ22

「あれ、次は水のなか、かな…？」

「息はできるけど……」

「面倒だね、僕が先陣切るから。ほら、なにぼさっとしてるの？さっさと行くよ」

「は、はい！！」

水中では、もちろん水の扱いに慣れて居るウェイが断然有利だ。

すいすいと魚の様に先陣を切って泳いでいく。

偶に遊んでいる様に水面から顔を出したりジャンプしたりするのがとても綺麗だった。

「でも長いね、ここ」

「そうですね……いつまで続くんでしょうか」

そう、ホワイトウェハースにある水は、もちろん冷水。

雪解け水が流れてきた物が、この冷たい吹雪やみぞれで更に冷やされているのだから。

「うぅ……さ、むい……」

一番に音を上げたのは、ネルだった。

いつもこほ、こほと咳をしていたのだから当たり前といえば当たり前だろう。

「大丈夫？うーん……なにか暖まれるもの…」

「無理だよ。ここには冷水しかないからカイロも湯たんぽも通用しない」

「なんで冷水しかないって言い切れるんだい？」

「こういう水がいっぱいある場所には慣れてる」

「…そうか」

一瞬疑ったディアだったが、水中で戦っても分が悪いと考えたのか、

途中で深く聞くことを諦めた。

しかし、問題はネルだ。

こんなに寒がっていては後がもたない。

「おい、ウェイ」

「なに」

「あとどのくらいあるか分からないのか」

「分かるよ、多分後4、5メートルくらいじゃないの？この水流と速さからしたら」

「すげぇな……」

水流によって残りの距離も分かってしまうのか。

ならば水中では絶対に敵に回さないでおこう…。

そう思ったディアであった。